理想像 ページ33
都市型住宅特有の急な階段を上がる。
階段を上がると、
色とりどりの植木鉢が
Aの帰りを出迎える。
玄関ドアのスリットガラスから
電球色の光が漏れ出ていた。
Aがレバーを引こうとすると、
ふっと中の光が遮られ、
ガチャリとドアが開く。
「おかえり、A。
遅かったやないの。」
母が出てきた。
「ただいま。学校で勉強しててん。
帰ってきたんようわかったなぁ。」
Aは母の横をすり抜け、
ローファーを脱いで上り框をあがる。
「階段上る音したから。
今日はAの好きなカレーやで。」
「ほんまに？はよ着替えてくる。」
リビングから芳ばしいカレーの匂いが
玄関まで漂ってくる。
ぐるぐるとお腹が鳴った。
Aは急いで自室へと階段を上がり、
さっさと部屋着に着替えて階段を下りた。
リビングでは父が夕刊を読んで座っていた。
父は地方公務員。
母は専業主婦。
父は毎日三十分程度残業して、
すぐに家に帰る。
家に帰れば、妻が夕飯をこしらえ、
娘がグレもせず、ほどほどに帰ってくる。
典型的な、幸せな家族。
ダイニングテーブルには
ツナとトマトのサラダ、
福神漬、ごろごろ野菜のチキンカレー、
コーンスープが並べられていた。
ホカホカのごはん。
湯むきされたトマト。
カレーは前日に作って一晩寝かせてある。
丹精込めて作られた夕餉を囲む。
母の隣にA、母の向かいに父が座り、
家族揃って手を合わせる。
『いただきます。』
朝と晩、家族みんなで手を合わせて
ごはんを食べ始める。
これがAの家族の約束事。
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ののん(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます！色々あれやこれや悩んで試行錯誤しながら書いておりますので、そう言っていただけると、本当に励みになります！りんさんのコメント読んで嬉しくてニヤけちゃいました笑 (2021年4月29日 1時) (
レス) id: b70c73754c (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - こんにちは。瑠姫くんの12時〜シリーズからののんさんのお話のファンになったのですが、このお話ほんっっっとに好きです､､､。本物の小説を読んでるみたいにドキドキしてしまいます。いつも素敵な物語をありがとうございます(T^T) (2021年4月28日 1時) (レス) id: a55fc0b198 (このIDを非表示/違反報告)
ののん(プロフ) - はっぱさん» コメントありがとうございます(^^)全部読んでくださったんですか？ありがとうございます(T_T)期待に添えるお話を書けるかどうか不安ですが、最後までお付き合いいただけると嬉しいです! (2021年3月31日 23時) (レス) id: b70c73754c (このIDを非表示/違反報告)
はっぱ - ののんさんのお話全て読ませていただきました！今回も推しの純喜くんが出るのでさらに楽しみです！ (2021年3月31日 13時) (レス) id: ede0d803b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ののん
| 作成日時：2021年3月28日 23時
