最初で最後の花火大会６ ページ16
少し歩くと、また出店の群れが見えた。
出店はいくつかのゾーンに分かれているようだった。
ここのゾーンは小学生ぐらいの子供や家族連れがとても多い。
よく見ると、縁日のようだ。
スーパーボールすくいや射的などが並んでいる。
俺は隣で彼女の目がキラキラと輝くのを見逃さなかった。
「何かやる？」
俺が尋ねると、彼女が小刻みに頷いた。
やりたくてうずうずしているようだった。
ヨーヨー釣りがちょうど空いていたので、ヨーヨー釣りのおじさんにお金を渡して、こよりを預かった。
彼女がヨーヨーの前にしゃがむと、俺の腕を引っ張って、
「はい。」
とひとつ、こよりを渡した。
「ありがとう。俺の分も払ってくれたの？」
俺も彼女の隣にしゃがんだ。
「はい。」
「何か、意外だなあー。
Aちゃんは、縁日とか興味ないのとおもってた。」
「昔は沙羅と一緒によくやってたけど、今はもっぱら食べもんやなあ。大人になった。」
「最初に『生』って言っちゃうぐらいだもんね。」
「生の美味しさを教えてくれたのは、あなたです。」
「えー、俺そんなにビールは飲まないけどなあー。」
彼女は水面に浮かぶヨーヨーの上にこよりをかざして、獲物を狙っているようだ。
「でも、何故かよな…奨さんといると、童心に戻る時がある。」
彼女が振り向いた。
「オカンパワーかな？」
彼女がイタズラっ子のように笑った。
「ディスってんの？あっ。」
ポチャンッ
俺のこよりが切れて、ヨーヨーが水面に落ちた。
「あー、油断した…。」
がっくし肩を落とすと
「はい。」
と、彼女が緑色のヨーヨーを渡した。
そして、続けてオレンジ色のヨーヨーを器用に釣り上げた。
「ありがと。すごっ。得意なの？」
「沙羅が天才的に下手やったから、私がよく取ってあげてた。」
彼女の表情はすこし得意気だ。
その後も続けて釣り上げて、最終的には合計７つも取っていた。
５つは戻して、最初に取った緑色とオレンジ色のヨーヨーをもらった。
次に、射的に行ったが、彼女はそこでも意外な能力を発揮した。
片目をしっかりつぶって、目標物に狙いを定めると、打つ玉は寸分の狂いなく、パンッと目標物の中心に当たって落ちた。
店のおじさんがパックンチョを彼女に手渡した。
彼女は得意気に受け取って、下げていた紙袋に入れた。
俺はというと、例外なく全部外した。
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ののん(プロフ) - oMINoさん» ありがとうございます!!悩みながら書いていたので、お褒めの言葉が胸にしみます…(TT） (2020年9月11日 21時) (
レス) id: b70c73754c (このIDを非表示/違反報告)
oMINo(プロフ) - 最高すぎます…読んでて泣いた作品ははじめてです(T . T) (2020年9月10日 17時) (レス) id: 9e8439352b (このIDを非表示/違反報告)
ののん(プロフ) - ユキさん» ありがとうございます！私も與那城くんの他の作品を読みたいのですが、なかなか見つからず…(;_;)ページ数も余ってるので番外編書けたらいいなと思います(^o^)豆ちゃんの方も読んでいただき、嬉しいです…！ (2020年7月3日 16時) (レス) id: b70c73754c (このIDを非表示/違反報告)
ののん(プロフ) - ふみかさん» 前作から読んでいただき、ありがとうございます！無事完結できて良かったです(;_;)次回のお話も是非是非よろしくお願いいたします(^^)今日か明日ぐらいにアップ予定です！ (2020年7月3日 16時) (レス) id: b70c73754c (このIDを非表示/違反報告)
ユキ - 奨くんmainのお話って結構少なくて…作って下さったののんさんホント神です！短くても良いので筋肉の再会後の大人のお付き合いも読んでみたいです^_^豆ちゃんの方もボロッボロに泣きました 笑 こんなに良い作品に出会えて幸せです(*´ω｀*) (2020年7月3日 0時) (レス) id: afcfe9e2ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ののん
| 作成日時：2020年6月10日 19時
