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最初で最後の花火大会4 ページ14

多摩川沿いにある遊歩道にはたくさんの出店が並んでいた。


出店の通りに入ると、一気に人が増えた。


手を離すと、はぐれてしまいそう。
彼女の手を掴む手に力が入る。


「生あるかなー?」
人の頭を避けながら、出店の文字を探していると、彼女が俺の肩を叩いた。


「あれ、食べる。」


彼女が指をさしていたのはかき氷だった。


「かき氷食べるの?生はいいの?」


彼女は俺の言葉を無視して引っ張っていった。


かき氷屋さんの店頭には、昔ながらのガラス瓶の中に色とりどりのシロップが入っていた。


いちご、レモン、ブルーハワイ、みぞれ…


並びながら彼女は念仏でも唱えるように暖簾に書かれた文字をブツブツと読んでいた。


「何にする?」


「ブルーハワイ。」


「だと思った!絶対不健康そうなの選ぶよね。」


「世の中の美味しいものは、全て不健康そうなもので出来ているのです。」


彼女は無表情に抑揚なくつぶやいた。


「不機嫌になんないでよー。」


「オカンは何にするん?」


「…オカンはいちごにします。」


俺はお金を渡して、いちごとブルーハワイのかき氷を受け取った。



「お金…。」
彼女が小さなポシェットをパカッと開けた。


「いいよ、これぐらい。」


「じゃあ、次は私が払う。」


「おおー、いいよ。気持ちだけで。」


彼女がまだ何か言いたげにもじもじしていた。


「ん?何?」


「織田先輩が、韓国のカップルは男の子がご飯のお金払って、その後女の子がコーヒーをおごるって言うのが定番やって言ってはったから。それ、やりたい。」


「韓国のカップル?いいじゃん。
じゃあ、そうしよっか。」


彼女が満足そうに頷いて、ブルーハワイのかき氷を受け取った。


「でもあの人、韓国いた時、絶対それやってないよ。おごってもらって終わりだよ。コーヒー飲んでるの見たことないもん。」


「私もそう思う。」


シャクッと彼女が一口食べた。

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ののん(プロフ) - oMINoさん» ありがとうございます!!悩みながら書いていたので、お褒めの言葉が胸にしみます…(TT) (2020年9月11日 21時) (レス) id: b70c73754c (このIDを非表示/違反報告)
oMINo(プロフ) - 最高すぎます…読んでて泣いた作品ははじめてです(T . T) (2020年9月10日 17時) (レス) id: 9e8439352b (このIDを非表示/違反報告)
ののん(プロフ) - ユキさん» ありがとうございます!私も與那城くんの他の作品を読みたいのですが、なかなか見つからず…(;_;)ページ数も余ってるので番外編書けたらいいなと思います(^o^)豆ちゃんの方も読んでいただき、嬉しいです…! (2020年7月3日 16時) (レス) id: b70c73754c (このIDを非表示/違反報告)
ののん(プロフ) - ふみかさん» 前作から読んでいただき、ありがとうございます!無事完結できて良かったです(;_;)次回のお話も是非是非よろしくお願いいたします(^^)今日か明日ぐらいにアップ予定です! (2020年7月3日 16時) (レス) id: b70c73754c (このIDを非表示/違反報告)
ユキ - 奨くんmainのお話って結構少なくて…作って下さったののんさんホント神です!短くても良いので筋肉の再会後の大人のお付き合いも読んでみたいです^_^豆ちゃんの方もボロッボロに泣きました 笑 こんなに良い作品に出会えて幸せです(*´ω`*) (2020年7月3日 0時) (レス) id: afcfe9e2ad (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ののん | 作成日時:2020年6月10日 19時

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