知らない男の子２ ページ7
「與那城さん！」
背後から声がした。
那奈心ちゃんだった。
栗色の髪の毛が今日もふわふわに巻かれていた。
「金曜日に会うの、珍しいね。どうしたの？」
「與那城さんを見つけたので、声かけちゃいました。用事がある訳じゃないんですけど！」
「そっか、今から授業？」
「そうです。
必修科目なんです。
そう言えばさっき與那城さんがお話していた子、隣のクラスですよ。」
あのシーンを見られていたのかと思うと少し恥ずかしい。
「そうなんだ。那奈心ちゃん
社会学部なんだ。」
「そうですよ。
與那城さん、あの子と仲良いんですか？」
那奈心ちゃんが上目遣いで俺を見つめた。
「えっと…」
なんとなく那奈心ちゃんから好意を寄せられていることは薄々気づいていたので、
どう反応すればいいか困った。
「そうだねえ。仲良い、のかも。」
急に人通りが少なくなって、
冷たい風が講義棟に流れてきた。
ゲリラ豪雨でも降るのかも知れない。
「あの子のこと、好きなんですか？」
那奈心ちゃんのストレートな質問に動揺して、上手く言葉が出てこなかった。
「いや、うーん、そうだねー。どうだろう？」
俺はYESともNOともつかない言葉で濁した。
那奈心ちゃんが肩に掛けていたカバンをぎゅっと握りしめた。
「あの子、さっきの男の子といい感じみたいですよ。いつも一緒にいるって聞きました。
付き合ってるんじゃないかって噂されてるんです。」
那奈心ちゃんがあの２人の後ろ姿を見ながら
早口で言った。
「そうなんだ。」
俺は那奈心ちゃんを見た。
那奈心ちゃんはふふふっと笑っていた。
與那城さんが彼女を好きでも、彼女にはあの男の子がいるから無駄ですよ、
と牽制されているような気がした。
「教えてくれてありがとね。」
俺は笑顔を作ってお礼を言って
講義棟の外へ向かった。
「與那城さん。」
那奈心ちゃんがまだ何か言おうとしていたが、
聞こえないフリをした。
だから那奈心ちゃんが不気味な笑みを浮かべているのには気づかなかった。
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ののん(プロフ) - コメントありがとうございます!!これからも更新頑張ります^^ (2020年4月21日 23時) (
レス) id: b70c73754c (このIDを非表示/違反報告)
りさ(プロフ) - 大好きです！これからも更新楽しみにしてます(^^) (2020年4月20日 23時) (レス) id: f70137444b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ののん
| 作成日時：2020年4月20日 21時
