知らない男の子 ページ6
次の日。
彼女と話したくて、
俺は講義棟の入口で彼女を待ち伏せした。
沙羅ちゃんに彼女が何限から授業というのをLINEで聞いていた。
すると、講義棟に入ってくる
彼女の姿が見えた。
「あ。」と
声をかけようとするも、
彼女は、俺の知らない男の子と
仲良さげに話しながら歩いてきた。
彼女が、沙羅ちゃん以外の人と話してる？
というか男の子…？
膝から崩れ落ちそうになるところを
なんとかヒラメ筋で持ちこたえた。
彼女は俺が一人で立っているのを見つけて、
てけてけっと走ってきた。
「與那城先輩。」
「あ、Aちゃん。おはよう」
俺はあくまで偶然を装った。
彼女が待ち伏せされていたとは
気づくはずもないだろうけど。
「おはようございます。
ご連絡差し上げようとしていましたが、
携帯を壊してしまって、
連絡が出来ませんでした。
沙羅から聞きましたか？」
「あ、うん。昨日聞いたよ。」
俺は後方で彼女を待っている男の子を
チラチラと見ながら返事をした。
男の子は特に何も気にしていないようで
鼻歌を歌いながら彼女を待っていた。
彼女はトートバッグをごそごそして
正方形の付箋を取り出した。
「私、スマートフォンにしたのです。
沙羅に教えてもらってLINEを登録しました。
これは、私のIDです。」
おれは付箋を受け取った。
上に與那城先輩へと書いており、
事前に書いてくれてたのか、と思うと
ちょっと気分がよくなった。
「お！了解。登録するね。」
「あと、」
「あと？」
彼女が俺に近づいてきて、背伸びをした。
「レコーダーに入れていた
與那城先輩のライブの録音を
スマートフォンに移し替えました。」
と耳元でささやいた。
「ずっと聴きます。」
さっきまで無表情な彼女が
如何にも嬉しそうな顔で言った。
俺は彼女の表情にドキッとして
思わず自分の耳をに触れた。
「はんにゃもちゃんと移し替えたの？」
「何の話でしょうか？
では、またご連絡させていただきます。」
また無表情になって
ペコリと丁寧にお辞儀をして
また男の子の方へ走っていった。
コソコソ話で教えてくれた
彼女しか知らない俺の秘密。
俺の頭はあの男の子への敵愾心から
優越感へと一気に変わった。
小学生が初めてアルファベットを習ったような丁寧な字で書かれた付箋をポケットにしまった。
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ののん(プロフ) - コメントありがとうございます!!これからも更新頑張ります^^ (2020年4月21日 23時) (
レス) id: b70c73754c (このIDを非表示/違反報告)
りさ(プロフ) - 大好きです！これからも更新楽しみにしてます(^^) (2020年4月20日 23時) (レス) id: f70137444b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ののん
| 作成日時：2020年4月20日 21時
