秘技２ ページ39
一連の出来事に圧倒されて
教室の真ん中につくねんと座っていると、
後ろのドアからヒョコっと彼女が顔を出した。
「うわ！Aちゃん？」
「こんにちは。」
彼女のはいつも通りのお辞儀をした。
「どうしたの？
何でここにいるの？」
俺はハッとした。
さっき那奈心ちゃんにハッキリと
『Aちゃんが好きなんだ』と
宣言していたからだ。
「え、ちょっと待って。
いつからいたの？」
「お二人がこの教室に入って行く辺りからです。」
俺はあからさまにガビーンとした顔をした。
それに気づいたのか、
「盗聴はしておりません。
立派な犯罪なので、
盗聴はしません。」
とフォローした。
彼女の様子を見ると、
本当に何も聞いてなさそうだったので
俺は胸をなでおろした。
「驚きましたか？」
彼女が俺の顔を覗き込むように聞いた。
「驚いたよ。
え？翔也の何？一緒にいた？」
「一緒にいました。
與那城先輩が困っているようでしたので、木全に割り込ませました。
私の秘技『木全送り』です。」
「木全送り？」
俺は予想もできない彼女の秘技を聞いて思わず笑ってしまった。
「はい。
木全を送り込むことによって
場の雰囲気をガラリと変える方法です。
木全はとても純粋なのです。
『あの子は女優を目指してて、與那城先輩とよく放課後に練習してる。演劇部に興味があるみたい。演劇部にさそってみたら？』
とそそのかしたら、すぐに信じて派遣されてくれました。」
「そそのかしたの？」
「はい。」
彼女がさっき那奈心ちゃんが座っていた席に座った。
「私はあの子に宣戦布告されたのです。
ですが、私が攻撃的になると、與那城先輩に叱られますので、私らしい別の方法であの子を成敗してやりました。」
彼女が満足げに親指を立てたので
俺は声をあげて笑った。
雨はすでに止んで晴れ間が見えていた。
窓際のバーチカルブラインドの隙間からオレンジ色の夕日が差し込んでいた。
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ののん(プロフ) - コメントありがとうございます!!これからも更新頑張ります^^ (2020年4月21日 23時) (
レス) id: b70c73754c (このIDを非表示/違反報告)
りさ(プロフ) - 大好きです！これからも更新楽しみにしてます(^^) (2020年4月20日 23時) (レス) id: f70137444b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ののん
| 作成日時：2020年4月20日 21時
