臆病３ ページ37
本当のことは知ってる。
でも反論はしなかった。
きっと那奈心ちゃんは俺がAちゃんのことを好きだって、付箋を盗んだ時から知ってたのかもな。俺に諦めさせたくて、嘘ついたんだろう。
「…そうかも知れないけど、
それでも、俺はAちゃんが好きなんだ。」
「それなら、私でいいじゃないですか！
どうせ振られてつらい思いするんだったら
このまま私と付き合ってれば！」
那奈心ちゃんが声を荒げた。
誰もいない教室によく響いた。
「那奈心ちゃんの気持ちは本当にうれしい。
でも、そういう気持ちで、
那奈心ちゃんと一緒にいたくない。
それだと、俺も同じことの繰り返しだから。
俺がただAちゃんを好きなんだ。
ごめん。本当に悪いと思ってる。」
「じゃあ何でオッケーなんてしたんですか？
あんまりです！」
那奈心ちゃんが立ち上がった。
チークで塗られた桃色の頬に涙の筋が光った。
「ごめん。俺は臆病なんだよ。きっと那奈心ちゃんが考えてる俺とは違う。」
「違いますよ！私が好きだからですよ！」
「那奈心ちゃんは知らないかも知れないけど、俺は去年みたいにまた告白を断って、周りから悪口言われるのが嫌だったんだよ。去年の傷を引きずって、他の子まで傷つけちゃうようなひどい奴なんだよ。」
「そんなのっ...嫌だ！別れませんから！」
那奈心ちゃんが俺の胸をポカポカと殴った。
俺はもう那奈心ちゃんの顔を見れなくなった。
「ごめんね。」
「やだやだ！」
「ごめん。」
「うわあああーん。」
那奈心ちゃんがボロボロと涙を流した。
俺の前でペタリ床にしゃがみ込んだ。
そして、俺の膝に顔をうずめて泣き出した。
「こんなに好きなのにどうしてダメなのー!」
うーん。
ここまで泣かれるとは考えてなかった。
激しく泣かれると
逆に俺は冷静になってしまった。
教室の後ろのドアが開いている。
大きな声を出されると、外に聞こえてしまう。
というか多分もう聞こえてる。
閉めに行こうにも
那奈心ちゃんが俺の膝で泣いてるので
立てないし。
どうしよっかな、と天を仰いた。
すると、
後ろのドアから
「はい！カットカットー！」
と言う声と共に
猛者が教室へ入ってきた。
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ののん(プロフ) - コメントありがとうございます!!これからも更新頑張ります^^ (2020年4月21日 23時) (
レス) id: b70c73754c (このIDを非表示/違反報告)
りさ(プロフ) - 大好きです！これからも更新楽しみにしてます(^^) (2020年4月20日 23時) (レス) id: f70137444b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ののん
| 作成日時：2020年4月20日 21時
