大学祭３ ページ24
劇が終わり、演者たちが出口に並んで
観客１人１人をお見送りしていた。
主役のプリンセスとプリンス役はとても人気のようで、一目近くで見ようと多くの観客が列をなしていた。
そして翔也は先ほどのキリッとした舞台での表情が嘘のように、少年らしい笑顔を見せて、観客にお礼を言って手を振った。
次第に出口へ向かう列が流れて
翔也の前にやって来た。
「お疲れ！歌、めちゃくちゃ上手くて、
ビックリしたよ。めっちゃいい劇だったわ。」
俺は翔也の肩をポンと叩いた。
「あ、ありがとうございます！
先輩に褒められるなんて恐縮です！」
翔也が照れながら嬉しそうに笑った。
彼女も翔也の前にやって来た。
「良かったで。木全が歌上手いん知らんかった。」
「ありがとう。緊張したけど失敗しなくて良かったよ。」
俺は目を丸くした。
彼女が大阪弁を話してる…！？
俺に対していつも敬語で話す彼女が翔也に対して大阪弁使ってる…？
いや、俺は彼女の先輩で翔也は彼女の同級生だから当然と言っちゃ、当然だ。
当然だと言い聞かせたけど、彼女の大阪弁の特別感がどうしても拭えなかった。
俺は地面にボトッと落としてしまいそうなか弱い心を引きずりながらホールを出た。
スタスタと２メートルほど前方を歩いていく彼女に呼び掛けた。
「Aちゃん！」
彼女が振り向いた。
「Aちゃんは翔也と付き合ってるの？」
彼女がまたスタスタと歩いて俺の目の前に立った。
「付き合っていません。
木全はクラスメイトです。
何故そのように感じられたのか不思議でたまりません。」
彼女が眉をひそめて言った。
俺は思わず心の中で渾身のガッツポーズをした。きっとめっちゃ嬉しそうな顔をしてると思う。
「そっか。そうだよねー。うんうん。
ごめんねー、変なこと聞いて。Aちゃんが沙羅ちゃん以外の人といるのに驚いちゃって。ちょっと気になって。ごめんねー」
一気にテンションが上がったからか俺は無神経な事を口走っていることに気づかなかった。
「私にも友達の１人や２人はおるんですけど。」
小さくチッと舌打ちが聞こえた。
「あ、いや！そういうことじゃないんだけど！あ、ちよっとAちゃん！」
俺の呼び掛けにも無視して、スタスタ歩く彼女の後ろ姿を見ながら、『おるんですけど』と俺にも大阪弁を使ってくれたことに気付いて、
心の中でまた小さくガッツポーズをした。
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ののん(プロフ) - コメントありがとうございます!!これからも更新頑張ります^^ (2020年4月21日 23時) (
レス) id: b70c73754c (このIDを非表示/違反報告)
りさ(プロフ) - 大好きです！これからも更新楽しみにしてます(^^) (2020年4月20日 23時) (レス) id: f70137444b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ののん
| 作成日時：2020年4月20日 21時
