大学祭２ ページ23
ホールのちょうど真ん中辺りに横並びに座った。
「木全は途中から出るそうです。
歌うシーンがあるらしいです。」
「そうなんだ。」
あのオドオドした子がどんな声を出すんだろう。それよりも彼女は翔也の事を『木全』と呼ぶのか。
朝イチでの発表にも関わらず、
深紅の座席はどんどん人で埋まって、
開演５分前にはほぼ満席となった。
ブーッ
『まもなく開演いたしますので、
皆様、席へご着席下さい。』
アナウンスが流れ、会場が暗転した。
劇団サークル「うさぎ」による演劇発表。
オリジナル作品のようで
聞いたことがない題名の劇だった。
幕が上がると洋館のセットが見えた。
美しい曲線の絡み合う手すりをつたって優雅におりてくるプリンセス。
およそ100年前のパリが舞台のようだ。
プリンセスとプリンスが歌いながら踊りだす。
翔也が出てきたのは、
劇が始まって３０分ぐらい経った時だった。
Ｙシャツにチャコールグレーの
ベストに身を包んだ翔也が
舞台の中心に立った。
執事の役らしい。
いわゆる脇役なのだが、
翔也が歌いだすと、
一気に舞台の雰囲気が変わった。
とにかく歌が上手い！
歌だけじゃない。
指先まで手抜かりのないダンス、
観客を意識した視線使い、
どんどん観客が翔也の世界に
引き込まれていくのがわかった。
さっきまでのオドオドした翔也はどこに行ったのか…というか、劇だったら普通にしゃべれるんかい。
翔也の普段の姿を知っている人ならさぞかし驚くだろう。
隣の彼女は表情こそ変えていなかったが、
胸のあたりで小さく拍手をしていた。
翔也は歌い終えると、
すぐに舞台裏へはけていって、
あっという間に翔也の出番は終わった。
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ののん(プロフ) - コメントありがとうございます!!これからも更新頑張ります^^ (2020年4月21日 23時) (
レス) id: b70c73754c (このIDを非表示/違反報告)
りさ(プロフ) - 大好きです！これからも更新楽しみにしてます(^^) (2020年4月20日 23時) (レス) id: f70137444b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ののん
| 作成日時：2020年4月20日 21時
