ライブ終わり３ ページ3
「だ、大丈夫です。」
彼女が抵抗しようとしたので、
俺は彼女の肩に触れている手に力を入れて、
「体勢辛いでしょ？
あと２駅だからごめん、我慢して。」
とAちゃんの顔を見ないように外の景色を見ながら言った。
というよりは彼女に
顔を見られて欲しくなかった。
きっと、ともが言っていたような
ヤラしい顔とやらをしているんだと思う。
彼女は抵抗をやめたようだった。
大人しく俺の大胸筋に頭をのせていた。
彼女の吐息が胸に触れるたびに
自分の鼓動が速くなるのを感じた。
心臓が持たないから
早く最寄り駅について欲しい、と思いつつも、
もう少しこのままでいいか、
という矛盾した感情が俺の頭を支配していた。
最寄り駅で電車を降りた。
なるべく乗客に不自然に見られないように
彼女の肩を持って降りた。
俺たちにとっては
とても不自然だった。
ホームの自動販売機にギターを立てかけて
彼女の髪の毛が引っ張られないように
ライダースジャケットをゆっくり脱いだ。
「とれそう？」
「なんとか解きます。
申し訳ございません。」
「いや、そんなに丁重に
謝らなくていいから。」
俺は焦る彼女が面白くて
半笑いで答えた。
彼女はあまり手先が器用ではないのか、
絡まった髪の毛をほどくのに
かなり手こずっていた。
そんな彼女を見かねて、
俺はジャケットを持って
彼女の肩に掛けた。
「ちょっとこのジャケット、
重いかもしれないけど。
家で石鹸とかつけると、
解きやすいかも。」
「いえ、大丈夫です。
髪の毛を引きちぎりますので。」
彼女が勢いよく髪の毛を
引っ張ろうとするので、
慌てて彼女の手を取って止めさせた。
「きれいな髪の毛なんだから
大事にしなさい。」
彼女はまたキリッと睨んで反論しようとしたが、止めた。
「どうしたの？」
「私が與那城先輩のジャケットを持っていたら
可愛い女の子たちに誤解させてしまいます。」
「誤解って？」
「誤解とは、間違った解釈や理解をすることです。」
「いや、それはわかってるけど。
誤解って、Aちゃんは
誤解されたら嫌なの？」
「私…ですか？」
彼女は珍しく言葉に詰まった。
彼女を動揺させられたことに
俺はなぜか勝ち誇った気分になった。
「可愛い女の子たちは
與那城先輩と仲良くなりたいようです。」
「論点をすり替えないでください。
今は、Aちゃんの話をしています。」
と俺は彼女の口調を真似て、追い込んだ。
「私…？」
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ののん(プロフ) - コメントありがとうございます!!これからも更新頑張ります^^ (2020年4月21日 23時) (
レス) id: b70c73754c (このIDを非表示/違反報告)
りさ(プロフ) - 大好きです！これからも更新楽しみにしてます(^^) (2020年4月20日 23時) (レス) id: f70137444b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ののん
| 作成日時：2020年4月20日 21時
