変な彼女 ページ18
彼女は何であの時俺の手を
振りはらったんだろう…？
俺はライブ中にもそんなことを考えていた。
もちろん歌には集中していた。
でもずっと頭の片隅に
彼女のあの時の表情が浮かんでいて、
今すぐ理由を聞きたくてたまらなかった。
ライブが終わり、片づけを終えた。
俺はともをライブハウスの裏で待たせて
彼女に電話を掛けた。
コールが何回か鳴った。
電車に乗っているかもしれない、と思い、
諦めて携帯を切ろうとした。
すると、
『はい、山本です。』
と彼女が電話に出た。
「あ、俺。大丈夫？電車？」
俺は慌てて返事をした。
『今、吉祥寺駅に着いたところです。
いかがいたしましたか？』
「いや、ちょっと心配になって。
那奈心ちゃんは？一緒に帰ったの？」
彼女は少し沈黙した。
『あの子に「與那城先輩はご友人と約束があるそうです」と言ったところ、先に帰りました。
私が送ると言いましたが、
慣れているから平気と言って、
明大前駅で一人乗り換えていきました。』
「そっか。慣れてるか。
まあ可愛いからよくある事なのかもね。」
この言葉は余計だったのかもしれない。
彼女は電話をつないだまま黙り込んだ。
「Aちゃん？」
『はい。』
「ああ、切れてないよね。」
『與那城先輩は大学祭で
歌を披露しないのですか？』
「ん？ああ、大学祭？
そうだねー、高校の時は、バンドを組んで
文化祭で発表したりしてたんだけどね。
大学入ってからはやってないね。」
『もっとたくさんの人に
歌を聞いてもらいたいと思わないのですか？』
「それは…そうなんだけど…
大学祭でやろうと思ったこともあったんだけど、俺、大学でやたら敵が多いからなあ。」
『…敵とはどういう意味ですか？』
「他人の情事に巻き込まれることが
多かったんだよ。１年生の時から。
ライブハウスだったら、そういう文脈なしに
歌だけを聞いてもらえるじゃん。」
『だから帽子をいつもかぶっているのですか？』
「まあそういう訳でもないんだけど…」
『確かに與那城先輩は誤解されやすいですが、
それは與那城先輩が分け隔てなく、優しく接するからです。私は、與那城先輩がそういう優しい人間だと知っています。』
何故か彼女が急に俺を褒めだした。
「あはは、ありがとう。
何かそんなに褒められると照れるね。」
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ののん(プロフ) - コメントありがとうございます!!これからも更新頑張ります^^ (2020年4月21日 23時) (
レス) id: b70c73754c (このIDを非表示/違反報告)
りさ(プロフ) - 大好きです！これからも更新楽しみにしてます(^^) (2020年4月20日 23時) (レス) id: f70137444b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ののん
| 作成日時：2020年4月20日 21時
