ライブ+1 ３ ページ17
真っ暗な会場の後方で、
那奈心ちゃんと彼女は
高いスツールに座ってステージが始まるのを待っていた。
「さっき、ごめん。」
那奈心ちゃんがステージの方を見ながら
彼女に言った。
「何がですか？」
「ナンパから助けようとしてくれたじゃん。」
「お礼を言っているんですか？」
「別に、そういうわけじゃないけどさ。
ま、別に與那城さんが助けてくれたからいいけど。」
すると、
急に那奈心ちゃんが彼女の方を向いた。
「ねえ！さっき與那城さん、
私を助けてくれたのって、
私のこと好きなのかな？」
那奈心ちゃんはワクワクした表情をしていた。
さっき流していた涙は
とっくにちょん切れていた。
彼女は一度那奈心ちゃんの顔を一瞥して、
「知りません。興味ありません。」
と答えた。
「はいはい。嫉妬しないでね。」
那奈心ちゃんは頬をピンク色に染めて
勝ち誇ったような顔をした。
彼女はそんな那奈心ちゃんの表情を無視して
ステージの方を見つめていた。
楽屋から客席の方を覗いて
ともがニヤニヤしながら俺を見た。
「奨くん、今日彼女と
もう一人来てんじゃん？彼女の友達？」
友達…
友達という言葉は那奈心ちゃんとAちゃんの関係にはなんとなく当てはまらない気がした。
「うーん、２人同じ学部らしいよ。
ていうかまあ彼女じゃないんだけどね。」
「へー。何か意外な組み合わせだなー。」
ともは俺の注釈は無視した。
「確かにあの子外で待ってたらナンパされるだろうなー。」
「何？とものタイプなの？」
「いや、タイプとかはよく分かんないんけど、
普通に可愛いじゃん。」
「…そうだね。」
俺はとりあえず返事をした。
普通に可愛いか…
サークルの１年生にもそんな事言ってた子がいたっけ。
あんまり考えたことなかったけど、
言われてみれば、那奈心ちゃんはおしゃれに敏感で、頭のてっぺんからつま先まで気を抜いたところが1つもない。
耳にぶら下がっているキラキラ光るピアスにもすぐに目がいく。
それでも俺は、
毛先まで艶のある黒髪とか、ツルンと白い陶器のような肌をいつの間にか追っている。
それだけ俺が彼女の事しか考えてないってことか…。
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ののん(プロフ) - コメントありがとうございます!!これからも更新頑張ります^^ (2020年4月21日 23時) (
レス) id: b70c73754c (このIDを非表示/違反報告)
りさ(プロフ) - 大好きです！これからも更新楽しみにしてます(^^) (2020年4月20日 23時) (レス) id: f70137444b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ののん
| 作成日時：2020年4月20日 21時
