失くした代償２ ページ12
５限が終わってサッカー場へ行こうと
講義棟を歩いていると、
ホールの隅っこの方で、
彼女と那奈心ちゃんが対面して話しているのが見えた。
珍しい二人だった。
同じ社会学部とは言っていたが、
どう考えても交わりのなさそうな二人だった。
二人の距離感はどう贔屓目に見ても友達には見えなかった。
なぜか俺は二人が何を話しているのか気になって、壁に隠れてひっそり二人の様子を伺った。
５限が終わったからか人通りが多く、
ホールの反響がすごくて
二人が何を話しているのかほとんど聞き取れなかった。
那奈心ちゃんは何となく笑っていて
彼女はいつも通り無表情でまっすぐ那奈心ちゃんを見つめて、その目は睨みつけているようにも見えた。
急に那奈心ちゃんが彼女の手にあった紙袋に手を伸ばした。
彼女は嫌がっているようにも見えた。
でも遠くて本当にそうだかよくわからない。
もう少し前に行こうか…と
壁から顔を出したところ、
「あれ？奨くんじゃん。
そんなところで何してるのー？」
おそらく背後から
講義棟の端から端まで突き抜ける声が聞こえた。反響によって前から聞こえてくるようにも感じた。
織田先輩だ。
俺は振り返って
しーっと人差し指を口元にあてたが、
遅かった。
二人は俺の存在に気づいたようだった。
急に那奈心ちゃんが俺の方へ走ってきた。
俺に何か言いに来たのかと思ったが、
俺の横を素通りして行った。
一瞬横切る那奈心ちゃんと目があった。
大きな瞳に大粒の涙をためていた。
俺は彼女の元へ行った。
彼女がチラリと俺を見た。
「大丈夫？那奈心ちゃん泣いてたけど。」
彼女が今までにないくらい
強く俺をにらんだ。
「あの子、ようあっこまで演技出来たもんやな。」
彼女が小さくつぶやいた。
関西弁が強すぎて何を言っているか聞き取れなかった。
「何？」
「こっちの話です。」
彼女が小さくため息をついた。
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ののん(プロフ) - コメントありがとうございます!!これからも更新頑張ります^^ (2020年4月21日 23時) (
レス) id: b70c73754c (このIDを非表示/違反報告)
りさ(プロフ) - 大好きです！これからも更新楽しみにしてます(^^) (2020年4月20日 23時) (レス) id: f70137444b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ののん
| 作成日時：2020年4月20日 21時
