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さっきまでの殺風景な白い廊下はどこにもなく、一瞬で景色が変わる理由を理解するのにはそれほど時間は要しなかった。
「意識を操るの、上手みたいだね」
隣に立っていたマスダさんが私にそう話しかける。
「操っている感覚はないから、WORLDISTAの最先端の力のおかげですよきっと」
そう笑って、私がおいしそうな食事に誘われるように席に着くと、同じように席に着こうとしていたカトウさんがゆっくりと口を開いた。
「意識を直結させるといっても、元の意識がどれだけクリアかっていうのはその人自身に委ねられてるから」
そこで一度言葉を切った彼だが、そのまま続ける。
「これも才能の1つってことになる」
「……才能の1つ」
カトウさんは庭に咲く小さな花や丁寧に敷かれたテーブルクロスに視線をやった。
「ねぇ、食べていい?朝のエクストラステージのことも聞きたいんだよね!」
テゴシさんがテーブルに身を乗り出しながらそう尋ねれば、私たちは食事に手を伸ばした。
そして、話題はやはりエクストラステージについてで、ゴールボーナスに3500バワリーも得たことをコヤマさんが話せば、思わずといった感じでカトウさんがむせる。
「そんなに?!」
テゴシさんが目を大きくして声を上擦らせる。
「やっぱり、エクストラステージのボーナスは大きいな」
マスダさんも驚きつつ相槌を打っているが、いまいちその重大さに実感がわかない私は、おそるおそる素朴な質問を投げかける。
「あの、バワリーはたくさん集めた方がいいんですよね?」
当然だが、私の質問に4人は揃って首を縦に振る。
「ですよね。…あ、でも、バワリーを獲得してトップメンバーになったらどうなるんですか?」
WORLDISTA CUPに参加した時、私たちプレーヤーに告げられたのはバワリーを多く獲得するように、ということのみで賞金のような対価については聞いていないことを思い出す。
もし、対価があるのなら、という話にはなるが。
「それは…」
私が変わらずまっすぐ見つめて尋ねれば、コヤマさんが口を開いた。
しかし、そのあとに続く言葉を遮るようにファンファーレの音とアナウンスが静かな庭に響く。
『プレーヤーの皆さん!大変お待たせいたしました!エクストラステージ・イマ―ジョンパズルがオープンしました!!あなたのチャレンジをお待ちしています!
エントリーを希望するプレーヤーは会場にアクセスしてください!』
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Nono(プロフ) - soboroさん» soboroさん、コメントのお返事がとっても遅くなってしまい、ごめんなさい…!楽しみに待っていただき、そしてこのページに遊びに来てくださりありがとうございます!! (2023年3月27日 21時) (レス) id: b787eddcb9 (このIDを非表示/違反報告)
soboro - 更新ありがとうございます!密かに楽しみに待ってたのでとっても嬉しいです! (2022年11月15日 0時) (レス) @page26 id: fea91e615b (このIDを非表示/違反報告)
Nono(プロフ) - momoさん» momoさん、コメントありがとうございます…!確か、以前にもコメントをいただいたかと思うのですが、長い間待っていただいて本当にありがとうございます!改めて楽しんでいただけるように頑張ります!よろしくお願いいたします!! (2022年9月19日 19時) (レス) id: 2d0e74762d (このIDを非表示/違反報告)
momo(プロフ) - ずっとお話の更新待ってました、!めっちゃ嬉しいです! 無理のない程度に頑張ってください!本当に更新ありがとううございます!! このシリーズのお話ホントに大好きです! (2022年9月18日 23時) (レス) @page18 id: 6dd93aac59 (このIDを非表示/違反報告)
Nono(プロフ) - 紗奈さん» 紗奈さん、こんにちは!コメントありがとうございます!過去作品も楽しんでいただけてとても嬉しいです…!!今作も楽しんでいただけるように、頑張りますね…!!ぜひまた遊びにきてくださいね! (2020年12月13日 18時) (レス) id: 250d3608a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nono | 作成日時:2020年10月29日 23時