26 ページ26
話しているうちに彼らとも少し打ち解けてきて、止まっていた食事を取る私たちの手も動き始める。
「それで、君がWORLDISTA CUPに参加したのはどういう理由で?」
ご飯を頬張ったからか、頬を膨らませながら聞いてきたのはカトウさんだ。
「理由…そうですね…」
言ってしまえば、こんなランキングがつくような大会と知らずに参加してしまったのだが、それを抜きにしても、招待状にサインをした理由はある。
「私の知らない世界に触れてみたくて」
プロ相手に、生意気な動機かなと心配したが、意外にもカトウさんは「いいじゃん」と短く答えた。
「そういうのが一番だよ」
コヤマさんもなぜか嬉しそうに頷いている。
「どれだけ経験を積んで、スキルがあったとしても、結局は心から楽しんでる人には勝てないからね」
マスダさんの言葉は私だけでなく、“NEWS”4人にも当てはまるような気がして、説得力があった。
「ていうか、Aちゃんが今日獲得してたバワリ―、普通に初心者とは思えないスコアだったからね?」
今でも信じらんないくらい、と言いながらも、テゴシさんのその目は少年みたいに輝いていた。
「プロにそう言ってもらえたら、もっと頑張れそうです」
私が冗談っぽくそう返すと、テゴシさんは大げさに「俺たちも油断してらんないじゃん!」と言って笑った。
意図的なのか、自然とそうなっていたのかは分からないけど、一貫して明るい空気感を作ってくれていたおかげで、考えごとや不安にとらわれていた私の頭はすっきりとしていた。
そして、テーブルの上に並んでいたお皿も空になり、気づけば、テーブルはさっぱりと片付けられていた。
一息ついたのを見計らってか、コヤマさんが私に問いかけた。
「どう?WORLDISTA CUP、楽しめそう?」
「えっ」
パッと顔を上げると、コヤマさんだけでなく、4人それぞれ私を伺うように視線を向けている。
「…はい、皆さんのおかげです!」
そう言って笑うと、彼らは笑い返してくれた。
「じゃあ…そろそろ私も自分のステイルームに行ってみますね、お邪魔しました…!」
私が席を立てば、彼らも通路まで見送ってくれる。
「同じプレーヤーなんだし、いつでも話しかけてね」
「助けてもらった借り、返さないとだし」
マスダさんとカトウさんが私にそう告げる。
「またね、Aちゃん!」
テゴシさんの言葉にコヤマさんも後ろから手を振っていて、私は軽く会釈をし、彼らがいるステイルームを後にした。
47人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Nono(プロフ) - soboroさん» soboroさん、コメントのお返事がとっても遅くなってしまい、ごめんなさい…!楽しみに待っていただき、そしてこのページに遊びに来てくださりありがとうございます!! (2023年3月27日 21時) (レス) id: b787eddcb9 (このIDを非表示/違反報告)
soboro - 更新ありがとうございます!密かに楽しみに待ってたのでとっても嬉しいです! (2022年11月15日 0時) (レス) @page26 id: fea91e615b (このIDを非表示/違反報告)
Nono(プロフ) - momoさん» momoさん、コメントありがとうございます…!確か、以前にもコメントをいただいたかと思うのですが、長い間待っていただいて本当にありがとうございます!改めて楽しんでいただけるように頑張ります!よろしくお願いいたします!! (2022年9月19日 19時) (レス) id: 2d0e74762d (このIDを非表示/違反報告)
momo(プロフ) - ずっとお話の更新待ってました、!めっちゃ嬉しいです! 無理のない程度に頑張ってください!本当に更新ありがとううございます!! このシリーズのお話ホントに大好きです! (2022年9月18日 23時) (レス) @page18 id: 6dd93aac59 (このIDを非表示/違反報告)
Nono(プロフ) - 紗奈さん» 紗奈さん、こんにちは!コメントありがとうございます!過去作品も楽しんでいただけてとても嬉しいです…!!今作も楽しんでいただけるように、頑張りますね…!!ぜひまた遊びにきてくださいね! (2020年12月13日 18時) (レス) id: 250d3608a6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Nono | 作成日時:2020年10月29日 23時