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エクストラステージも何とかクリアしたかと思えば、その直後にステイルームの案内があり、気づけば、今日知り合ったばかりの人たちとご飯を食べていている。
和やかなムードとは裏腹に、ようやく実感を帯びてきた現状を前に私だけ食事の手が止まっていた。
いつもの癖でまた考えごとにふけってしまいそうな時、コヤマさんが「あれ?」と声を漏らした。
「あんまり口に合わなかった?」
そう言ったコヤマさんは明らかに私の顔を見て、心配そうに眉を下げている。
「あ、いえ…!おいしいです!」
私が飛び上がるようにそう答えると、「ほんとに?」とマスダさんもこちらを見る。
「…なんだか、慣れないことばかりで……この、WORLDISTA CUP…?も、よく知らないまま参加しちゃったので、ちょっと疲れちゃっただけです、たぶん」
少しの沈黙の後、私がぽつぽつと話しはじめると、4人はチラッとアイコンタクトを取り、彼らも手を止めた。
「Aちゃんは、新人さんなんだっけ?」
そう最初に口を開いたのはテゴシさんで、口調はやわらかく、明るい声色をしていた。
「え…?あ、はい…まぁ、新人というよりは、ド素人なんですけど」
「でも、デジタルシューティングのスコアも悪くなかったよね?」
マスダさんは小首を傾げる。
「それに、俺たちが他のプレーヤーに妨害されていたのを阻止したのは、Aちゃんに見えたんだけど…」
操縦は俺がやったけどね?と口を尖らせるマスダさんをコヤマさんがなだめながらそう言った。
「あれは、偶然というか、私にも分からなくて…」
しどろもどろの回答を繰り返すばかりの私だが、4人はピンと来ていないのか、不思議そうな表情を浮かべるばかりだ。
「偶然ねぇ…あれくらい正確に狙えるなら、バーチャルプレーヤーとして十分素質あると思うんだけど」
片眉を上げてそう話すカトウさんに3人も頷くが、私ははじめて聞く言葉に首を傾げた。
「バーチャルプレーヤー、って何ですか?」
え、と声を漏らしたのはおそらく4人全員だ。
「えっと…、こういうデジタルとか、バーチャルを活用したシステムの中で競技するプレーヤーのことだけど……知らない?」
カトウさんはさっきまでとは違ってゆっくりと私に問いかけた。
「…意味はなんとなくわかるような気がします」
私の回答に彼らは頷くと、テゴシさんが後を引き継ぐように言った。
「俺たち、プロのバーチャルプレーヤーなんだよね」
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Nono(プロフ) - soboroさん» soboroさん、コメントのお返事がとっても遅くなってしまい、ごめんなさい…!楽しみに待っていただき、そしてこのページに遊びに来てくださりありがとうございます!! (2023年3月27日 21時) (レス) id: b787eddcb9 (このIDを非表示/違反報告)
soboro - 更新ありがとうございます!密かに楽しみに待ってたのでとっても嬉しいです! (2022年11月15日 0時) (レス) @page26 id: fea91e615b (このIDを非表示/違反報告)
Nono(プロフ) - momoさん» momoさん、コメントありがとうございます…!確か、以前にもコメントをいただいたかと思うのですが、長い間待っていただいて本当にありがとうございます!改めて楽しんでいただけるように頑張ります!よろしくお願いいたします!! (2022年9月19日 19時) (レス) id: 2d0e74762d (このIDを非表示/違反報告)
momo(プロフ) - ずっとお話の更新待ってました、!めっちゃ嬉しいです! 無理のない程度に頑張ってください!本当に更新ありがとううございます!! このシリーズのお話ホントに大好きです! (2022年9月18日 23時) (レス) @page18 id: 6dd93aac59 (このIDを非表示/違反報告)
Nono(プロフ) - 紗奈さん» 紗奈さん、こんにちは!コメントありがとうございます!過去作品も楽しんでいただけてとても嬉しいです…!!今作も楽しんでいただけるように、頑張りますね…!!ぜひまた遊びにきてくださいね! (2020年12月13日 18時) (レス) id: 250d3608a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nono | 作成日時:2020年10月29日 23時