きっと空は青い

三色 ページ4

物語のめでたしは、主人公の結末(エンド)で変わるそう

哀れで可哀想な主人公に、そんな主人公を苛む悪に、主人公を助けるプリンス

主人公はいつだって恵まれていて、最後にはプリンスと結ばれ、幸せでしたとさ…

…主人公と悪、皆が幸せなハッピーエンドなんて本当にあるのかな?
先生は、それが本当のめでたしだとは言うけれど。悪役は死んでしまうか、居なくなるか、消えてしまう方がお似合いなんだよ

犯罪者に向ける視線や言葉と同じ
嫌いな奴に呟く悪口と同じ

嫌いで憎たらしくて忌々しい奴の不幸ほど、死ほど、人は喜んで面白がって声援や拍手を送る

それに対して劣情を述べるわけでも、同感を添えるわけでもない。この白黒の世界に、そんな面白めいたことは滅多にないのだから

この人生の主役が僕ならば、僕は哀れな主人公？
家族には愛され、他と変わらぬよう育てられ、人生を謳歌している、そんな主人公?

物語に悲劇は付き物だ。ならば、主人公になんてなりたくない。それでも、不幸はいつだってそこにある

哀しみと絶望を乗り越えて強くなれる人なんて、ほんの一握りの人間だけ。



くだらない退屈な毎日に飽きたところで何も変わりやしない

相変わらず見えない色も、上に広がる白も、僕も、時間も、世界も、何もかも

日常が変わるその日を、僕は悲劇と名付けよう
紅く花咲かせ、横たえ、消えた温度の灯る握った手が落ちていくあの瞬間を、悲劇以外になんと名付けよう?

宝物のない、生きる価値も意味もない、退屈でくだらない無意味な人生も、世界も、そんなものならば

いっそ一思いに捨ててしまえ
独り静かに、想い出を抱き締めて、こんな世界にさよならを送って逃げてしまえ

逃げるは恥だが役に立つ、って言うでしょ?

逃避してしまうような残酷な世界のせいだ
僕を置いて居なくなってしまった皆のせいだ
無意味な存在の白黒人間の僕のせいだ

屁理屈でもなんでも述べればいい。卑怯ものだっていい
皆のところにいけなくてもいい

独り取り残されることだけは、嫌なんだ




色のない世界よりも、温もりのない世界の方がよっぽど寂しい。苦しい。悲しい。辛い。嫌だ






扉の開いた鳥籠にずっと留まる理由なんて何処にもないでしょ？
羽がなくても翼がボロボロでも、這いずって出ていけばいい

どうせどの世界も変わらないよ




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