十六色 ページ18
…目が、覚めた
ちょっとだけ残念だな。あのままぽっくり、逝けてしまうかと思ったのに
嗚呼、ダメダメ、僕は神様と皆の分まで生きなきゃいけないんだから
はじめに見たものと同じ天井を見つめて、上半身だけ起こして近くにおいてあった袋を抱き締める
そうじゃないと、寂しくて悲しくて、泣いちゃいそうだった
喉はとても乾燥してて、近くにはコップがあって中には水が入ってた
飲もうかと手を伸ばし、触れる寸前で手を引っ込める
なにか変なものを入れられてたら、いけないから。お父さんが言ってたんだ。
安易に人を信用して大丈夫だと過信しないこと
相手先で出された飲み物は出来る限り飲まないこと
お父さんはむかし、薬をまぜられてて、死にそうだったんだって
だから今は……ああ、生きてた頃は、お母さんが入れたものしか飲めなかった
僕は色が分からないから無理だし、匂いも誤魔化されてたら気づきっこない
神様の本体?…えっと、あの小さな刀は、取り上げられてるのかこの部屋にはないみたい
大丈夫かなぁ。神様なら、どこにあるか、分かるかもしれないけど…今は、おやすみしてるから、起こしちゃダメだよね
……どうしようかなぁ。正直、疲れているし、歩くのも疲れるし誰かとはち合わせするのも面倒だから、なにもしたくないんだよね
『…ほんとは、ずっと守ってあげたかった』
一人言。寂しいときによくする癖
とっても心が軽くなるの。独り善がりだなんて分かってる
そうでもしないと、今にも消えたくて仕方がないの
神様もおなじなんだね。
『でも、ずっと守られる側で、皆を守れるほど強くないのもわかってた。それでも、温もりが薄まる度に、どうしても、不安で仕方なくって
独り善がりばっかだった。ずっとすがってばかりで、マヌケなんだよ
誰も守れない。何も斬れない。誰の役にも立てない。本能すら喪った
僕には何もないの。それなのに皆は、"乱藤四郎"の成り損ないの僕を守ろうとするの。どうしてなんだろうね』
この神様も、僕も、本物の"乱藤四郎"には二度となれないんだね
『兄さんはね、いつも僕の頭を撫でてくれるの。僕の髪は、瞳は、綺麗な色なんだって。僕にそんなことを言ったって、色なんて分かりっこないのに、ずっと不器用だけど伝えてくれるんだ
記憶のなかには、もう一人の兄さんが、沢山出てくるんだ。何処にいっても、僕を抱き締めてくれて、離れるときも、おまじないをかけてくれるの』
神様の記憶。僕の記憶。嗚呼、ぐちゃぐちゃ
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すずめねこ(プロフ) - ありがとうございます〜! (2020年9月4日 22時) (レス) id: 2c248db6f8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 面白かったです!続き楽しみにしてます! (2020年9月3日 19時) (レス) id: af730a2065 (このIDを非表示/違反報告)
ハイキュー大好き!!(プロフ) - 続きがとても気になります。更新楽しみにしてます。頑張ってください!! (2020年8月9日 20時) (レス) id: 2d39102061 (このIDを非表示/違反報告)
すずめねこ(プロフ) - コメントありがとうございます!そう言っていただいて恐縮です…。遅くなるとは思いますが、頑張って更新したいと思います。何卒よろしくお願いしますm(._.)m (2020年6月22日 21時) (レス) id: 2c248db6f8 (このIDを非表示/違反報告)
緋真 - 初コメ失礼します。続きが気になります!更新頑張ってください!! (2020年6月22日 11時) (レス) id: 4e6eadfb12 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2020年6月19日 20時