十三色 ページ15
「早く皆も泣き止みなよ、乱が怖がってるでしょ」
『え、ぁ…だ、大丈夫、で……』
「安定の言う通りだよ。その顔、安定よりブスだから早く直してよね
来て早々に無理させてごめんね。一緒に部屋戻って休もうか」
大和守安定さんと加州清光さんがそう言い、僕の手をひいて大広間を出ていく
握る手は暖かくて、優しくて、大きかった
いつの日だっけ。そんなの、もう覚えてないけど。いろんな人とこうして、手を握ったことがあるような気がする
皆(刀剣)とだけじゃなくて、もっと、もっと、馴染みのない、不器用だけど大きくて、優しい手も、知っているような…気がする、？
『ご、ごめんなさい…皆さんに、迷惑を、かけてしまって』
「迷惑じゃないよ。あれに関しては俺達が悪いし、乱は気にしなくていいから」
「そーそー。あんな急に、一気に見られたら誰でも怖いのにね。一部は殺気放ってたやつもいるし……ごめんね〜、いつもは悪い奴じゃないんだけどさ」
『…それは、当たり前だから、大丈夫です
寧ろ、こんな欠落品…出来損ないを、拾ってくれて、優しくしてくれること自体が、奇跡のようなものですし…』
そうだ。僕は出来損ないだ
何も斬れない、何も守れない、何も出来ない出来損ない
『殺気に当てられていたり、視線に恐怖を抱いていると』
生きる"価値"も"意味"も無いのに、
『嫌でも"生かされてる"って、実感できるから』
―お前は生きなさい―
意識が沈んでいく
―二度と折れてはいけないよ―
ねえ、
くるしいよ
たすけて
くらい
いたいよ
にいさん
↗↘↗↘↗↘↗↘↗↘
「…あの乱藤四郎は、どうやら審神者だけでなく刀剣男士にも呪いをかけられているようです」
「えっ……と、刀剣男士にも…?」
「嗚呼。それも、恨みが籠っているものではなくて、今も彼を縛り、守り続ける加護のようなそれが、何度も上書きされ穢れを含み、歪んで呪いになってしまっているだけだけれど」
「…その刀剣男士は誰か分かるか?」
「恐らく、乱藤四郎と…粟田口と最も関わりがあり、どの本丸でも彼を気にかけた存在……
予測するに、その刀剣男士の名前は…」
―乱。お前だけでも、逃げるんだ―
―乱……助けられず、すまない…―
―乱―
―乱―
"折れるな"
そうするしか、私は、お前が生きてくれる術を知らないんだ
嗚呼、どうか、お前に華やかな未来があらんことを
一期一振
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 124人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
すずめねこ(プロフ) - ありがとうございます〜! (2020年9月4日 22時) (
レス) id: 2c248db6f8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 面白かったです！続き楽しみにしてます！ (2020年9月3日 19時) (レス) id: af730a2065 (このIDを非表示/違反報告)
ハイキュー大好き！！(プロフ) - 続きがとても気になります。更新楽しみにしてます。頑張ってください！！ (2020年8月9日 20時) (レス) id: 2d39102061 (このIDを非表示/違反報告)
すずめねこ(プロフ) - コメントありがとうございます!そう言っていただいて恐縮です…。遅くなるとは思いますが、頑張って更新したいと思います。何卒よろしくお願いしますm(._.)m (2020年6月22日 21時) (レス) id: 2c248db6f8 (このIDを非表示/違反報告)
緋真 - 初コメ失礼します。続きが気になります！更新頑張ってください!! (2020年6月22日 11時) (レス) id: 4e6eadfb12 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時：2020年6月19日 20時
