記憶を失った鬼姫＊3rd＊

story.95 ページ9

エンマside







まあ、今回の案件は美少女が狙われているということもあった




それでその犯人をおびき出そうとAが囮になっていたと知り、居ても立っても居られなかったという方が正しいか…。




本当、無事でよかった。





きっとAが自ら囮になるといったんだろう…。






全く…仕方ないやつだな。





もっと自分を大切にしてほしい。






そう思い彼女を見ると、こちらを見ていて目の焦点が合う




ん…？どうしてそんな不安そうな顔をしているんだ。




俺は気になって声をかけてみれば、すごい勢いで目をそらされてしまった





うッ…、それがかなりショックではあったが、聞かれたくないことなのか？





それともまた一人で苦しんでるのか？





もっと俺を頼ってほしいのだがな。




なんだか涙が出そうになり、顔を顰めてしまう





しかし、それを悟られないように笑顔を作る






エンマ「そうか…。」




無意識に涙ぐんだ声がでてしまう




今の声聞かれたよな…？





思わず口元を押えて、彼女をチラリと見ようとした時だった






カッと足音がして正面を見れば、幼馴染のカイラが少女を担いで不機嫌そうな顔をしている





カイラ「この少女で間違いないな？」




エンマ「ああッ！いつも助かるぜ！」



少女の確認を済ませるとあとはエンマ族直属の魂案内人、オクレに任せた



カイラ「そろそろ行くぞ、エンマ。」




エンマ「ああ。行くか、A。」




俺は振り向いて彼女に手を差し伸べた



だが、不安な表情のままその手をとるのをためらっている





余計だったか？



どうも彼女との距離感がうまくつかめない



あまり近すぎても彼女を怖がらせてしまうかもしれない。



それだけは避けたい



Aはもともと積極性があるかと言ったらない方だ



だけど、優しくて他人思いなところは変わってない



俺がフッと笑みを浮かべれば、彼女は俺の様子をうかがうような表情で手を重ねた




ふむ、何か気に障るようなことをしたのか？





それを無理に聞き出すのも気が引ける…。





俺は彼女を抱えて、カイラとともに地上へと向かった

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