記憶を失った鬼姫＊3rd＊

story.87 ページ1

Aside







A「ここは…？」





痛む頭を押さえて、ゆっくりと体を起こす




ここへ落ちる時、どうやら受け身を上手く取れなくて頭を強く打ったみたいだ






ここは地下かな？




薄暗くて、何もない空間





ゆっくり立ち上がると、少し先に数人の女の子達が横たわっているのが見えた





私は彼女達に駆け寄ると、





A「え…。」




私は口元を押えて、目尻が熱くなるのを感じた




ひどいわ。




誰がこんなことを、信じられないわ！





少女達は症状はそれぞれで、全身に打撲や切り傷などの怪我を多数していた




息があることが確認できて、心底ホッとする




少しでも彼女達の怪我の痛みを和らげたいのだけど、私にはどうすることも出来ない



目を伏せると、椿姫に言われたことをふと思い出した



この前 、彼女に怪我の手当をしてもらったときだ




椿姫にお礼を言えば、「Aには負けますわ。」と彼女は謙遜していた



私はその時は自分にはなんの力もない、何も出来ないって思ってた




けど、その言葉の意味が今やっと分かった




そう




私にもきっと治癒能力がきっとあるのだ




だったら、彼女達を助けられるはず…




ううん！助けてみせる！





私は一人の少女に両手をかざして、強く願う





お願いｯ…！治って！！





特に反応はない




それでも私はそれを続ける





すると手が熱くなってやがて淡いピンク色の光が包み、あっという間に彼女の怪我が治った






A「やったｯ…、出来たｯ！！」




私は嬉しくてつい歓喜の声を上げる



よし、この調子で…みんなを治せるわ！



次の少女の治癒に当たろうと思い、立ち上がる





だけど私はその時、少女達の怪我を治すことだけしか考えていなくて、

自分の置かれた状況を理解していなかった



私の背後に迫って来ている黒い影のことになんて到底気づていなかった

story.88→

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す