記憶を失った鬼姫＊3rd＊

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Aside







謝るエンマ君の手を握ると、一瞬彼はピクリと反応したが、顔を上げることはなかった






代わりに、彼のすすり泣く声が私の耳に入ってくる




気づけば、私はエンマ君を自分の方へ抱き寄せていた




エンマ君が泣いてるの？





初めて見た…、彼が泣いているところなんて…。





もしかして、今までずっと我慢してたの？





私がそれを知らなかっただけで、私の知らないところで本当は一人で泣いていたの？





そう考えれば、時々見せるあの悲しそうな笑顔の意味も分かる気がした





私の存在がエンマ君に辛い思いをさせてしまっているの？




めいわく……なの、かな？






私、エンマ君の重荷にしかなってないのかな？





私は彼の優しさに甘えていたんだ。





エンマ君の気持ちを何一つ考えないで、これじゃまるで、自己中じゃない。






そんなことばかり考えていたその時だった、








A「ｯう…！？あｯ…。」






激しい頭痛が私を襲った





まただ…。




私は顔を顰める





頭の中に知らない映像のようなものがよぎる





今度は２本の角が生えた綺麗な女性…、






「ごめんね、せめて貴女だけでも…」って言うの。





どういうこと？




一体誰なの、どうして謝るの？




私はあまりの痛みに耐えらず、とうとう頭を抱えて地面に膝をつく





エンマ君も私の異変に気づいて声をかける






エンマ「おいｯ…、どうした！？Aｯ…！！」





あ、いつものエンマ君の声が聞こえる





いいえ、少しだけ余裕がなさそうな声ね…。




でも、さっきまで泣いていたとは思えない声音だ。




強いなぁ…彼は。




それに比べて私は情けないわね。




ごめんなさい、エンマ君。




私が辛い時はあなたに元気づけられてるように…

今度は私が泣いているあなたを慰めるべきなのに、今はとても出来そうにないわ。








A「わ、たしは大…じょぶ、だからｯ…、きにｯ…しな、、いでｯ……。」




私は途切れ途切れだが、何とかそう返す






乾いた声で、「はぁ？何言ってんだ…。」と隣で言う彼のことなんて今の私にはお構いなしだ





思い出したいの、少しでもいいから…




私は痛みを我慢しながら思い出しかけそうな記憶を呼び戻そうとする




すると、ふわりと温かいものが私の体を優しく包んだ




見なくても分かる






エンマ君だ。

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