9輪 ページ10
「琉玖くんのことが好きなら言ってくれれば良かったのに」
『だって言いにくかったんだもん、それのせいでお母さんの結婚が白紙になるんじゃないかって』
「あなたは本当に自分の気持ちを優先しないわよね」
「でも、そんなあなただから琉玖くんもあんなことを言ったのかしら」
『何か言った？』
「んーん、何にも」
母の最後の言葉は聞き取れなかったが、今まで岩のように重かった心が嘘のように軽くなった。
「あ、ねぇAはさ」
何かを思い出したのか、母は言葉を紡ぐ。
「琉玖くんと結婚したいと思わないの？」
飲んでいたココアを思わず吹き出しそうになる。
予想だにしなかった言葉に動揺を隠せない。
『な、何を言ってんの！？そんなの出来るわけないじゃん！！』
顔が赤くなっていくのが分かるが、そんなものはお構い無しに母に反論する。
「え？できるわよ？結婚」
『……え？』
何を当たり前のことを、と言わんばかりの母の言葉に今度こそ困惑する。
「血が繋がっていないんだもの、法律上禁止されていないわ」
「だから、好きなら好きと言っていいのよ」
「もう何も、我慢することはないの」
もう、いいの？
彼への気持ちに蓋をしなくていいの？
なら。
なら、さ。
今から、想いを伝えに行っていいの？
『お母さん、私ちょっと行ってくる』
椅子から勢いよく立ち、彼の元へ急ぐ。
「待ちなさい！」
母は私を引きとめ、髪の毛を整えてくれた。
「うん、可愛い」
「いってらっしゃい」
その時の母の表情よりも綺麗なものはないだろう。
娘ながらそんなことを思った。
『いってきます！』
ぶるーく先輩、待っててください。
今からあなたに伝えに行きます。
あの時からずっと好きなんだって。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 268人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ののあ(プロフ) - Kさん» こちらこそご覧いただきありがとうございます！最高という言葉嬉しすぎます…😭🤍 (2月25日 20時) (
レス) id: ca8d1d1062 (このIDを非表示/違反報告)
K - 最高の作品です……！！ 禁断の恋が結ばれて幸せになる瞬間……最高でした！！ あちがとうございます！！！ (2月25日 16時) (レス) @page17 id: ca68b6c668 (このIDを非表示/違反報告)
ののあ(プロフ) - もち米マンさん» 禁断の恋と言ったら義兄弟かな…と思いまして！笑ありがとうございます！更新頑張ります！！ (10月24日 18時) (レス) id: ca8d1d1062 (このIDを非表示/違反報告)
ののあ(プロフ) - Mさん» ありがとうございます！！そのにまにまとても嬉しいです🫶🏻🫶🏻めっちゃ頑張りますっ！！ (10月24日 18時) (レス) @page5 id: ca8d1d1062 (このIDを非表示/違反報告)
もち米マン(プロフ) - 新作ありがとうございます！今回も中々の禁断の恋ですね！これからも無理しない程度に更新頑張ってください(*´∀`) (10月23日 23時) (レス) @page4 id: 483e70a4e0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ののあ | 作成日時：2023年10月21日 15時
