君の隣で yuzuru H*

8* ページ9

･



｢ ────っ ｣



上手く呼吸が出来ない。



苦しい



膝に手をついて酸素を求めて息を吸う。



一通り演技をしてみると、改めて自分の体力のなさを思い知る。



そして、自分の表現力のなさにもみじめになる。



朦朧とする意識の中で、自分の演技について



必死で思いを巡らせる。



どうしても演技に気持ちが乗らない。



町田くんのように、気持ちのこもった力強い演技ができない。



明子ちゃんみたいに、繊細さを表現する技術もない。



大輔くんのように、人を引き込むような魅力もパワーもない。



真央ちゃんのように、凛々しくそして人を感動させるような演技もできない。



私には何ができるのか、



体力もなく、表現力もなく。



考えれば考えるほど、虚しくなる。



情けなくなる。



目頭が熱くなり、視界がぼやけていく。

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