君の隣で yuzuru H*

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･




｢ う゛、｣



想像通り、目覚めは最悪だった。



食欲なんてものが湧く気配すら感じない。



どよんだ空気。



理由は1つ。



皆、大輔くんの餌食となったから。



きっと、女子が来れば空気は変わるはず。



でも、そうはいかなかった。



考え込んだ様に眉を寄せる真央ちゃんに、



困った様に落ち着きがない明子さん。



いつもの明るさは無く、しゅんと眉を下げる佳菜。



そして、どこを見るでもなく、ぼーっとしている彼女。



一見いつもと変わらないけれど、どこか沈んだ空気。



平気な振りして笑う彼女は、本当に演技がうまいと思った。



大輔くんは、何も言わずにそっと彼女の姿を見つめていた。



町田くんは明子さんと、顔を合わせて困っていた。



そして、彼女のいつもとの " 違い " は練習になると目に見えてきた。



明らかな彼女の違い。



それは、 " 目 " だった。



極めつけに彼女が言った言葉。



それは、練習を休みたいというものだった。



静まり返ったリンクに響いたその声は、



彼女だと、思えないほどの冷たい冷たい声だった。



スケート靴を脱ぐとそのまま何も言わずに彼女は一人、歩き出した。

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