君の隣で yuzuru H*

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練習が始まるまで後30分。




｢ あれ、Aちゃんおそいなぁ。


　真央、ちょっと様子見てくるね! ｣




そう言ってリンクから出て行った



真央ちゃんの背中を見つめる。




｢ 大輔くん。


　Aちゃんって誰? 」



｢A?


　ああ、長谷川A。


　結弦も知ってるだろ? 」




長谷川A。



最近、表現力の高さから注目を浴びている子。



初めて会う彼女にどんな子なんだろう、とわくわくしていた。









｢ なぁ、結弦。


　真央が出てってからどん位たった?｣




｢ 15分...? ｣




中々帰ってこない真央ちゃんと



まだ、会えていないAちゃん



正直、どんな子か気になり過ぎて練習どころではない。




｢ いつまで待ってても意味ねぇから、


　体ちょっと動かしとくか。 ｣




スケート靴の紐を縛りなおすと、



大輔くんはリンクへと歩いて行った。



僕はその背中を追う様に、



Aちゃんという存在を気にしながらも



大輔くんに続いてリンクへと向かった。









｢ 佳菜! ｣



名前を呼べばいつもと変わらぬ明るい笑顔で振り向く。



｢ Aちゃんって会ったことある? ｣



どんな子なのか。



名前は聞いたことあるけれど見た事もない彼女。



それでも、注目されている彼女に僕の好奇心はそそられていた



｢ 話した事は無いけど、


　会った事ならあるよ!


　映像で見るより小さくてびっくりした! ｣




不思議すぎる佳菜の感想に



好奇心はどんどん煽られてゆく。

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