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23話 ページ24

駅から歩いて徒歩10分。

繁華街の中にひっそりと潜む看板を目印に階段を降りると、そこは老舗のイタリアンがある。


大学の友達から評判を聞いてずっと気にはなっていたんだけど、なかなか機会がなくて来れなかった
場所。

なにかがきっかけでLINEでマサさんとその話になって、今度連れてってと言われたのだ。



・・・なぜかわたしがマサさんに連れて行かれてる形だけど。

そのうち離してもらえるかなと思った手は、あれからも繋がれたまま。恥ずかしいという気持ちを通り過ぎて、もうなんだか頭がいっぱいいっぱいになってしまっている。


お店についたからそろそろ離してもらえるかなと困ったようにマサさんを見ると、広い背中越しに見えたのは入り口の前で結構並んでる人たちの列だった。

わぁ、結構混んでる。平日の夕方だからと思って油断しちゃってた。




「わ、結構混んじゃってますね・・・」


「え?あぁ、そうだね。まぁ大丈夫、大丈夫」


「・・・?マサさん行列並ぶの全然大丈夫なタイプですか?」




祐希はあんまり得意じゃなかったっけと考えていると、マサさんは並んでいる列を無視してどんどん進んでいく。もちろん手を繋いだままのわたしも連れて。




「え、あの・・・マサさん!」


「あの〜、予約した柳田なんですけど・・・」


「あ、柳田様ですね。お待ちしておりました、ご案内いたします。こちらへどうぞ〜」


「え!?」




目を白黒させていると、そのまま店員さんに奥の方へ促された。
案内された先は、多分お店の中に少ししかない個室。


席に座る時に手は離してもらえたけど、突然のことにびっくりして固まってしまっているわたしを見て、マサさんは耐えきれなくなったように笑い始めた。




「っふふ、Aちゃんめっちゃ固まってる!」


「え、だってびっくりしすぎて!こないだの今日でいつの間に予約されたんですか?」


「AちゃんからLINEがあった後にすぐ。前にツイッターとかに勝手にプライベート写真あげられて困るって言ってたでしょ?個室取っといた方がいいかなぁと思って。
−−せっかくだからゆっくりしたいしね」




マサさんはそう言うと、大人っぽく笑った。





タカくん。わたしはなんだか今日、あなたのお兄さんがカッコよすぎてびっくりしっぱなしです。

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作者名:のの子 | 作成日時:2015年12月14日 13時

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