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17話 ページ18

「そういえばAさん、こないだ全日本選手の練習見学に行かれたんですよね?お兄ちゃん元気そうでした?」


「うん、タカくんにそっくりだったからすぐにわかったよ〜。タカくんの言う通り、すっごい優しかった!
そういえば腰に違和感があるって言ってたけど、大したことないって言ってたかな。それ以外は特に不調そうには見えなかったけど・・・」


「そうですか・・・なんだか先週ぐらいからLINEしても元気がない感じで心配してたんですけど・・・よかった。忙しかっただけかな?」



心配そうに眉を下げてタカくんが言った。

この兄弟は本当お互いのことが大好きなんだなぁと微笑ましくなりながらわたしはタカくんの頭を撫でる。



「わたしからタカくんがこんなに心配してましたよってLINEしてみるね。多分すぐに返信くるよ。
あ、そうだ。タカくんの写真欲しいって言われてたんだ!せっかくだからタカくんが滑ってるところ写真撮らせて〜」


「え!僕ですか?あんまり上手く滑れないのに〜」


「大丈夫、大丈夫!あっちで転びそうな祐希も一緒に撮ってあげるから。ほら、行くよ!」


「え、あ、ちょっとAさん!はやいはやい恐い!」



片手にスマホ、片手にタカくんの手を取ってリンクに降りる。

手を握ったまま少しスピードをつけて滑り出すと、速さに驚いたタカくんが騒ぎ始めた。

向かう先は頑張ってバックで滑ろうとしている祐希と武智くんのところ。タカくんの手を離してあげて、ぎこちない動きをする祐希の背後に回るとちょんちょんと背中を手で押した。



「え、うわ、なになに!?」


「重心をつま先に乗せすぎてるから、それじゃあ進まないよ〜?」


「うわっ、なんだAかぁ。・・・タカがなんかすっごい疲れてるけどどうしたの?」


「ジェットコースター並みに怖かった・・・」


祐希「はぁ?」


武智「何してたの?(笑)」



三人が話している間に、少し離れてスマホを構える。

疲れてるタカくんに、その横で笑う武智くんと祐希。うん、自然体がいい感じだなと思いながらシャッターを押した。カシャっと言うスマホ独特の音が響く。



武智「あれ?Aちゃん今もしかして写真撮った?」


「うん(笑)マサさんに送ろうと思って」


「こんなところ撮らないでくださいよぉ〜」


「あはは、タカめっちゃ疲れた顔してるし」



そうして楽しい時間はあっという間に流れていった。

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作者名:のの子 | 作成日時:2015年12月14日 13時

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