13話(石川祐希) ページ14
あれから一週間。
明日は大学全体が休講日で、しかも普段部活で使っている体育館がバスケ部の試合で使われるとかで1日オフだ。
全日本選手の人たちは普通にプレミアムリーグの練習があるようで、暇な時間なにをしようかなと考えていると、突然洸史が話しかけてきた。
「祐希明日ひま?」
「ヒマ。なにしようかなってちょうど考えてたとこ」
「あのさ、さっきたまたま学食でAちゃんに会ったら、Aちゃんも午後はオフなんだって。そしたらタカがスケートしたいって急に言い始めて、」
「え、まじで?」
「Aちゃんもノリノリで、リンクの人に聞いたら自由に遊んでいいよって言われたって(笑)
シーズンオフで一般解放してないから貸切らしいよ。祐希も来るっしょ?他にも伊賀さんとか壱青とかバレー部のみんなも来るって」
「オフなのにバレー部ばっかだね(笑)でも楽しそう、行く行く!」
「そう言うと思った(笑)じゃあ明日の12:30に寮の前で待ち合わせな」
「オリンピック選手に直に教えてもらえるんだから、ジャンプ跳べるようになったりして」とか笑いながら言う洸史にそんなわけないでしょって返したけど、内心楽しみな気持ちは俺も同じだ。
Aと一緒に滑ったのは、中学生の頃が最後。俺もスケートは数回しかしたことがないから、初心者に毛が生えた程度だ。
部活のみんなでバレー以外のスポーツをやるなんて新鮮だなぁと思いながら、その日は部活を終えた。
〜〜〜〜
次の日。寮の前でバレー部が集まり、ぞろぞろとスケートリンクの前まで来た。
練習は終わっただろうかと中を覗くと、ちょうど入り口のところでコーチとAが何やら話している。
コーチはAが愛知にいた頃からお世話になっていた元オリンピック選手。俺も何度か話したことのあるけど、見学に来た俺にも優しく話しかけてくれる気さくなコーチだ。
武智「まだ早かったかな?どうしよっか・・・」
「俺、あのコーチ話したことあるからちょっと挨拶言ってくる。荷物持ってるしそろそろ帰るところなんじゃないかな?タカ、ちょっとこれ持ってて」
タカ「え、ちょっと祐希さん!」
鞄をタカに預けて、中に入る。二人は真剣な表情で何やら話しているが、ここからだと何の話をしているのかまでは聞こえなかった。
そっと近寄って挨拶をしようとすると、先にAが俺に気づいた。
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作者名:のの子 | 作成日時:2015年12月14日 13時