話したい事が、きっと沢山あるんだ ページ10
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「何故」
「うん？」
何故そのような顔をするのか。Aは杏寿郎の炎のように赤い瞳を見て、思わずその言葉が口に出かける。何故会って間もない自分に、そんなにも優しく、別れを惜しむような表情をするのか、Aには理解できなかった。
「私は、煉獄さんが考えていることがよく分からない」
「？俺も君が何を考えているかはよく分からないぞ！と言うよりも相手の考えている事が分かる人間などそうそういないだろう！」
分かれば苦労はしないな！とまたご飯を食べ始めた杏寿郎をAはぼんやりと眺める。
相手の考えている事が分かる人間などいない、そんなの当たり前だ。だが、Aの疑問はそういうことではない。何故、あの耳飾りの少年や今も飯を食べ続ける目の前の男の優しげな瞳を見ると、胸を締め付けられるのだろう。
どうして、堪らなく涙が溢れそうになるのだろう。
「やっぱり、分からない」
「うーむ、君自身が分からないことは俺にも分からないな！」
「……」
「…しかし！俺は鬼殺隊士としても、人間としても、君より先輩だ！答えを出せるかは分からないが、君の悩みを聞くことはできる！」
話してみるといい！と、鼻先と鼻先が触れそうになるほどずずいと顔を近づけてきた杏寿郎にAは少しだけ身を引きながらコクコクと頷いた。
「煉獄さん、」
「なんだ！」
「煉獄さんは、どうして私を気にかける？どうして悲しげな瞳をする？」
「悲しげな瞳？」
「悲しくて、優しくて、少しだけ不安げで、消えてしまいそうな炎みたいに私を見つめていた。」
「…」
「分からない、貴方も私もお互いを知らないのに」
分からない。困る。あの瞳に見つめられると、あの人と同じ顔をされると、どうしていいか分からなくなる。
だんだんと俯き始めるAをじっと見つめ、杏寿郎は考え込むように顎に手を当てる。
それから少しだけ、眉を寄せて考えてから、パッと思いついたかのように少女の頭へと手を置いた。
「どうして君がそれについて悩んだかは分からないが、君の言う悲しげな瞳というものの事については答えられる！」
「…」
「俺は君に死んで欲しくない！」
「……？」
「そして、出来れば俺も死にたくはない！」
「？？」
「だが、この鬼殺隊に入った以上は死を覚悟していかなければいけない。俺は、命をかけて共に戦う君"たち"に、誰一人として死んで欲しくない。鬼殺隊は、俺にとってもう1つのかけがえのないものだから」
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神(プロフ) - 素晴らしい作品ですね。表現の仕方や文章体等がとても私好みでこのような作品、作者様に出逢た事を嬉しく思います。更新楽しみにしてますが、このご時世ですのでお身体に気を付けて下さいませ！ (2020年8月2日 9時) (
レス) id: 7ce36be9af (このIDを非表示/違反報告)
Regulus(プロフ) - とっても面白いです！更新楽しみにしてます(((o(*ﾟ∀ﾟ*)o))) (2020年4月7日 12時) (レス) id: 9c91fd3a1d (このIDを非表示/違反報告)
瑞姫 - 素敵なお話ありがとうございます。炎柱の継子になるんでしょうか？楽しみにしています。 (2019年10月17日 13時) (レス) id: 4cdf8b95a1 (このIDを非表示/違反報告)
ルカ - ドチャクソ面白い………更新頑張ってください！ (2019年9月30日 16時) (レス) id: ffbf18fb0d (このIDを非表示/違反報告)
飴李(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです！応援してます！ (2019年9月26日 3時) (レス) id: 3704481379 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しきみ | 作成日時：2019年9月23日 18時
