君も、僕の中の一部だから ページ11
￣
「少し、昔の話になるが、俺が鬼殺隊に入隊して間もない頃、俺のようになりたいと言ってくれた人がいた」
「彼は、彼らは、任務の最中に死んだ。人を守って、命をかけて戦ったんだ。自分ではない誰かのために、」
目を伏せて、どこかに思いを馳せているように、戒めているように、杏寿郎は語った。その言葉一つ一つの重みに、Aはぎゅっと拳を握る。
「俺は、彼らのようになりたい。そして誰も死なせたくない。俺がどんな顔で君を見つめていたかは分からない。だけどその理由は、鬼殺隊の仲間である君に、死んで欲しくないと思ったからだと俺は思うよ」
「それは、」
それは理由なのだろうか。Aは結局分からなかった。死んで欲しくないと思っても、結局は赤の他人ではないか。何故、それなのに何故"彼ら"はこんなにも優しくて、己が泣きそうなるほどの温もりを持っているのだろうか。
「私は、多分、死というものが分からない」
「……」
「でも、誰かのために命をかけて戦う意味は分かる。死ぬことは怖くない、だけど、今の私には煉獄さんが言うような、死んで欲しくないと思う人がいる」
「うむ！ならばその人の為に戦い、そして共に生きていこう！」
ガシッとAの肩を掴み、杏寿郎は少女を立ち上がらせる。
「強くなろう！安食少女！この先も、生きていけるように！」
「強く、」
「強くなれば、沢山の人たちを救える！君にとって死んで欲しくないと思う人も、きっと守ることが出来る！強さは、君の原動力になる！君自身を作ってくれる！」
「だから、強くなる」
Aの言葉に、杏寿郎は強く頷き、目をカッと開いて口角を上げた。そして、表情の変わらないAの口角を指でグイッと上げる。
「辛い時こそ笑顔！」
「へは、？」
「君は会った時から全然表情が変わらない！正直何を考えているか分からなくて俺も困った！」
それはこちらの台詞だ、とAは思ったが口には出さなかった。
「胡蝶の継子の少女もそうだったが、君のそれは時透少年に近いな！感情が乏しい！」
「(だれ…)」
「笑顔は大事だ！俺も、それを忘れない！」
「は、ひ」
「うむ！！」
灼熱の太陽に触れたような、火傷してしまうと思うほどに心が熱くなった。この人を、死なせたくないと少女は思ったのだ。彼らに生きていて欲しいと思うように、あの人の為に強くありたいと思うように。
優しさも、温もりも、夢であって欲しい
いつか、消えてしまうなら
￣
続く
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神(プロフ) - 素晴らしい作品ですね。表現の仕方や文章体等がとても私好みでこのような作品、作者様に出逢た事を嬉しく思います。更新楽しみにしてますが、このご時世ですのでお身体に気を付けて下さいませ！ (2020年8月2日 9時) (
レス) id: 7ce36be9af (このIDを非表示/違反報告)
Regulus(プロフ) - とっても面白いです！更新楽しみにしてます(((o(*ﾟ∀ﾟ*)o))) (2020年4月7日 12時) (レス) id: 9c91fd3a1d (このIDを非表示/違反報告)
瑞姫 - 素敵なお話ありがとうございます。炎柱の継子になるんでしょうか？楽しみにしています。 (2019年10月17日 13時) (レス) id: 4cdf8b95a1 (このIDを非表示/違反報告)
ルカ - ドチャクソ面白い………更新頑張ってください！ (2019年9月30日 16時) (レス) id: ffbf18fb0d (このIDを非表示/違反報告)
飴李(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです！応援してます！ (2019年9月26日 3時) (レス) id: 3704481379 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しきみ | 作成日時：2019年9月23日 18時
