優しい熱に溺れよう ページ1
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「おい！おい起きろ！いつまでも寝てんじゃねぇ！屋敷に着いたぞ！」
「う、ん？」
「お前は赤子かなんかか？！俺の服に涎でも垂らしてたら承知しねぇからな？！」
脳によく響く声に、夢心地だったAは一気に現実に引き戻される。自身を背負っている隠がギャーギャーと騒ぐ姿を後目に、Aは辺りをキョロキョロと見渡した。蝶屋敷と呼ばれているこの屋敷は、名前の通り辺り一面に不思議な蝶がひらひらと舞っている。藤襲山に似た不思議な雰囲気を感じながら、Aは隠の背中から降ろされた。
「今立花が屋敷の人呼んできてるから後は一人でなんとかしろよ」
「たちばな？」
「俺と一緒にお前を運んだもう一人の隠だよ。ったく餓鬼のお守りなんかもう御免こうむりたいぜ」
嫌味のように隠はそうAに言い放つと、ぐんと背伸びをする。その姿に、自分はそんなにも重かったったのだろうか、とAは少しだけ心配になった。未だ覚めきらない目を擦り、少女は大きく欠伸をする。
「連れて来たぞ」
「おーごくろーさん。じゃあなガキんちょ」
「だからお前は立場をわきまえろ…お元気で」
「ありがとうございました、」
二人の隠は、Aが手を振るよりも早く屋敷をさっさと出て行ってしまった。その自由過ぎる姿にAが呆気に取られていれば、先程隠が連れて来た屋敷の者がキビキビとした話し方で「此方です」と少女を案内する。
Aよりも幾らか歳が上に見える二つ結びの少女は、ボーッとしているAとは違いとても凛とした立ち振る舞いをしていた。スタスタと廊下を歩く少女の後を、Aはのそのそと追いかける。彼女程しっかりとしていれば、何でもこなせる人間になれるのだろう。揺れる二つ結びの髪を見ながら、Aはそんな事を思った。
「？！A！！」
「ギャッ？！なんだよ炭治郎いきなり大声出すなよぉ！」
「Aの匂いがする！」
「匂いってお前…ちょ、それはやべぇよ…」
怪我人や病人が多くいくつもの部屋の中で、聞きなれた声が耳に届く。その声にAは立ち止まり、声の聞こえた方へと歩き出す。ひょっこりと部屋の中へと顔を覗かせれば、ボロボロの体で隊服を着たままベッドに上半身を乗せる炭治郎と鼻水を垂らしまくった善逸がいた。隠の人は、何故か引いたような目で炭治郎を見つめている。
「炭治郎、？善逸？」
そんな小さな少女の声に少年達は心底安心したような、嬉しそうな顔で笑った
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神(プロフ) - 素晴らしい作品ですね。表現の仕方や文章体等がとても私好みでこのような作品、作者様に出逢た事を嬉しく思います。更新楽しみにしてますが、このご時世ですのでお身体に気を付けて下さいませ！ (2020年8月2日 9時) (
レス) id: 7ce36be9af (このIDを非表示/違反報告)
Regulus(プロフ) - とっても面白いです！更新楽しみにしてます(((o(*ﾟ∀ﾟ*)o))) (2020年4月7日 12時) (レス) id: 9c91fd3a1d (このIDを非表示/違反報告)
瑞姫 - 素敵なお話ありがとうございます。炎柱の継子になるんでしょうか？楽しみにしています。 (2019年10月17日 13時) (レス) id: 4cdf8b95a1 (このIDを非表示/違反報告)
ルカ - ドチャクソ面白い………更新頑張ってください！ (2019年9月30日 16時) (レス) id: ffbf18fb0d (このIDを非表示/違反報告)
飴李(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです！応援してます！ (2019年9月26日 3時) (レス) id: 3704481379 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しきみ | 作成日時：2019年9月23日 18時
