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何かの犠牲に幸せがある ページ13





鬼殺隊の隊服は特別な繊維で作られている。通気性は良いが、濡れにくく燃えにくい。その上雑魚鬼の爪や牙では、隊服を割くことも出来ない。次郎丸が言っていたことは本当だった。鬼の首を切り落としたAは、傷一つない隊服を見てそう思った。


初任務で向かった村では、夜な夜な村の子供や女が次々に消えていた。村の人間は神隠しだ熊が襲ってきたやらなんだかんだ言っていたが、Aが夜に見張っていればそれはやはり鬼だった。しかも二匹。瓜二つな姿から双子だと言うのが見受けられた。欲望に忠実な鬼だ


ひらりと隊服のスカートを揺らして足音もなく斬り掛かる。二匹の鬼は呆気なく倒れた。選別にいたのと同じ、あまり強くない鬼だったようだ。兄に見える鬼は、泣いている弟の鬼に向かって何か喋っている。黙って灰になればいいのに、面倒臭い。Aはドスッと刀を弟の鬼に向かって差し込んだ。その一刺しにより鬼はサラサラと消えてなくなった。


「鬼狩りっ!!お前を絶対に許さないっ!よくも!よくも弟を!!」

「(兄の方は割と図太いな…)」


Aを罵倒し続ける鬼に向かってまた刀を差し込む。ギャンギャン吠えていた鬼は直ぐに消えた。自分達だって村の人間をたらふく食べていたのに、殺されたら泣くなんて虫がいいな。二匹の鬼が消えた場所を眺めながらAは溜息をこぼした。


「カァ!A!次ノ任務!A!次ノ任務!」

「もう次に行くの?」


どこから来たのか、Aの鎹鴉は少女に次の任務を言い渡した。「次ハ、合同任務!」と叫びながら、鴉はバサバサと羽を広げ次の任務先へとAを案内した。休憩も与えてくれないのかこの仕事は、と思いつつもAは諦め半分で鴉のあとをのろのろとついて歩く。

不意に誰かがAの手を引っ張る。振り返ると、村に入った時に最初に会った少年が立っていた。少年は見ていたのだ。熊でも猪でもない化け物を、この少女が一撃で仕留めるその様を。荒い息のまま少年は少女の血のように赤い瞳を見つめ、涙を流して弱々しく笑った。



「ありがとう、仇を打ってくれてありがとう、」



何度も何度も少女の手を握って感謝の言葉を述べた。Aはそれに少しだけ目を見開きながらも、少年が手を離してくれるのをただじっと黙って待っていた。



鎹鴉は今もずっと、少女達の頭上を飛び回っている。









大正コソコソ噂話



少年、喜助くんは好きだった女の子を鬼に殺されてしまったらしい





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しきみ(プロフ) - しゃろさん» コメントありがとうございます!勝手ながらにリニューアルしてしまいましたが、楽しんで頂けて何よりです!暫くは早めの更新となりますので、ゆっくりでも読んでいただけたら嬉しいです! (2019年8月31日 19時) (レス) id: 0cd86406d9 (このIDを非表示/違反報告)
しゃろ(プロフ) - コメント失礼します。リニューアルされる前のお話も好きだったのですが、こちらのお話も読み応えがあり、以前よりも読むのが楽しくなりました。あなたの書く文章がとても好きだなあと感じています。季節の変わり目、体調などにお気をつけて更新お待ちしております。 (2019年8月29日 23時) (レス) id: 29ef3d46ba (このIDを非表示/違反報告)
りんご - お話とても面白かったです!金平糖のことなのですが、織田信長の好物だったらしく、ポルトガル(?)との貿易で入手したらしく活躍した部下には直々に渡していたようですよ。 (2019年7月10日 18時) (レス) id: 7ea393d4f2 (このIDを非表示/違反報告)
しきみ(プロフ) - あいうえおさん» ありがとうございます!早く他のキャラクターも出せるよう大急ぎでお話進めていきたいです!頑張ります! (2019年7月9日 0時) (レス) id: 0cd86406d9 (このIDを非表示/違反報告)
あいうえお - とっても深いお話でいいなと思いました!更新頑張ってください! (2019年7月8日 7時) (レス) id: d4ea0d195c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しきみ | 作成日時:2019年7月7日 5時

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