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愛に勝るものはない ページ2



爇の呼吸を習得する為に長い年月の中で様々な稽古がつけられた。ある時は何時間も熱湯に入れられ、ある時は体温を一定に保つために真冬の中を裸足であるかされた。死んでしまうかと思える程に凄まじい稽古が繰り返し行われた。


「ねぇ義叔父さん。私達は鬼を絶対に殺さないといけないの?彼らを元に戻す方法はないの?」

「そんなもんがありゃとっくにやってるさ。だけどないんだよ。どれだけの人間が研究を重ねても鬼にされたモノを人間に戻すなんて魔法みたいな方法は」



ある時Aがそんな事を聞くと、次郎丸はお手上げというようにそう答えた。元が人間であるならば、鬼殺隊がやっていることは人殺しになるのだろうか。


「A、お前は鬼殺隊に入っても絶対に鬼を庇ったりするなよ。」

「どうして?」

「彼処に入るような奴らは皆、家族や恋人を鬼に殺された者ばかりだ。お前のような者の方が彼処では珍しい。奴らは恨みでいっぱいだからな、鬼の味方なんてしてみろ。大変なことになるぞ」



分かったな?と少女の頭を撫でながら男は繰り返しそう言った。皆、失った者や守るべき者の為に戦っているのか。ならば私はなんの為に戦いに行くのだろうか。純粋な疑問だった。それを少女が問えば、笑顔だった男の顔が怖いほどに歪んだ。



「お前を預かった時に、俺にお前を渡した人に言われたんだ。お前はこの世界の運命を変えられる者になるかもしれないと。地獄のような世界にお前を戦わせに行かせるなんて駄目だと分かっている。それでもこの地獄が終わるなら、お前に俺のエゴを叶えて欲しいと思ってしまった」



Aの手を握り締め、懺悔するように答えた次郎丸の手は酷く震えていた。こんなちっぽけな子供が世界を変えられる訳ないだろう。幼いながらにAは思った。だけどもたった一人の家族と言える次郎丸が、それを望んでしまっているならばこれ以上に何か言う必要も、拒否をする意味もない。そんなことを考えて、震える男の手をそっと握り締める。




「大丈夫だよ義叔父さん。私、絶対に生き残るから。誰の為でもない、私に愛をくれた貴方のために戦うよ。だから泣かないで」



人は酷く愚かだ。自分の平和のためなら全てを犠牲にできるのだから。貴方は本当は臆病なのね。それでも私はそばに居る。だって今の私には貴方以外に何も無いから














誰かが彼女を愛してくれればこんなことにはならぬだろう






拭ったところで匂いは取れぬ→←生まれる世界を間違えた



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しきみ(プロフ) - しゃろさん» コメントありがとうございます!勝手ながらにリニューアルしてしまいましたが、楽しんで頂けて何よりです!暫くは早めの更新となりますので、ゆっくりでも読んでいただけたら嬉しいです! (2019年8月31日 19時) (レス) id: 0cd86406d9 (このIDを非表示/違反報告)
しゃろ(プロフ) - コメント失礼します。リニューアルされる前のお話も好きだったのですが、こちらのお話も読み応えがあり、以前よりも読むのが楽しくなりました。あなたの書く文章がとても好きだなあと感じています。季節の変わり目、体調などにお気をつけて更新お待ちしております。 (2019年8月29日 23時) (レス) id: 29ef3d46ba (このIDを非表示/違反報告)
りんご - お話とても面白かったです!金平糖のことなのですが、織田信長の好物だったらしく、ポルトガル(?)との貿易で入手したらしく活躍した部下には直々に渡していたようですよ。 (2019年7月10日 18時) (レス) id: 7ea393d4f2 (このIDを非表示/違反報告)
しきみ(プロフ) - あいうえおさん» ありがとうございます!早く他のキャラクターも出せるよう大急ぎでお話進めていきたいです!頑張ります! (2019年7月9日 0時) (レス) id: 0cd86406d9 (このIDを非表示/違反報告)
あいうえお - とっても深いお話でいいなと思いました!更新頑張ってください! (2019年7月8日 7時) (レス) id: d4ea0d195c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しきみ | 作成日時:2019年7月7日 5時

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