【実況者】お前の罪を歌え【MILGRAM】 (ページ49)

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38.囚人番号003＿紙の尋問ページ49

「…………尋問？」
「紙のね」

目を合わせず、そっけなく答えるソーラ。

現在囚人達には使われていない、牢屋が円状に並んだ大広間の中でソーラはらっだぁに紙束を渡し(そして半分押し付け)ていた。

「あ、あれか。あー言ってた言ってた、しにがみくんとシャオロンも言ってたあれね」
「これやるともれなく全員機嫌悪くなってるって聞いてるけど」
「そりゃまぁ、なんというか、看守サンちゃんと覚えてる？俺等殺人犯だからね？情緒も不安定よ」
「知ってるわよ」

今すぐにでも自室に踵を返したい気持ちに駆られるが、説明はちゃんとしなければならない。それでトラべぇ(とバステン)に怒られるのは自分なのだ、と自身を奮い立たせると、改めてソーラはらっだぁに向き直る。

「書くものは？」
「自室に無いの？」
「あるよ。シャーペンだけど」
「芯は」
「そりゃ勿論」
「そ。じゃあ万年筆いらなかったわね」

省略会話を繰り広げた後(のち)、さすがに自分よりいくつも年上ならっだぁの高い目線を一瞥すると、

「じゃあ。二週間後までだから」

そう言ってソーラは、花刺繍の施された看守服を翻(ひるがえ)して廊下の奥の方へと消えていった。

一人残されたらっだぁはというと、

「……女心ってわからないなあ」

囚人番号003_らっだぁ紙の尋問