28.紙の尋問 ページ35
招集先は、昨日と変わらない会議室。
なんだか不思議な気分である。食堂にしても会議室にしても、どこかのなにかを切り取ったような、そんな印象がして。
食堂はどこかの大学のようで、会議室はどこかの会社の一施設。それぞれの部屋の雰囲気が全く違って、正直慣れないうちは頭がくらくらしそうだな、と感じる。
椅子に腰掛けた先の沈黙を破ったのはトラべぇだった。
「じゃ。二日目になったってことでみんなに、まずは最初の工程をくわしーく説明するね」
木琴を叩いたような声でそう言うと、小さな腕を後ろに回す。
と、どこから取り出したのか、次の瞬間トラべぇの手に握られていたのは数十枚もある紙束だった。
「これこれ。これが〜、『紙の尋問』に使う紙」
看守全員に、特定の枚数だけ配られる。
灰色がベースの紙。でも印刷はモノクロというわけではなく、囚人の差し色がそれぞれ直線で引かれている。
その紙がぎっしりと手に。俺は… 囚人三人×一人に付き20枚分、のようだった。
一枚一枚厚紙で、それなりの重さがある。一体この重さの紙を、どうやって赤ちゃんのような手で(しかも片手)で持てていたのだろうか。
他のみんなは、バステンさんだけ担当囚人が二人と言っていたからか20枚。あとは俺とバステンさん以外が10枚だった。 …なんかちょっと羨ましいな。
バステンさんと他のメンバーをじとーっと睨んでいたら、ソーラさんから苦笑された。
「はいそこ嫉妬しない！」
そんなことやっていたら、トラべぇからびしっと人差し指を俺等に向けて指された。ぷんすこ、の四文字が似合いそうな顔をレジ袋がしている。
「紙の尋問は、囚人番号順に期限が設けられてるんだよね。
なんでかっていうと、質問内容は看守のみんなでそれぞれ話したり、提案したりしながらやったほうが看守たちはやりやすいのかな〜って思ってさ。
紙の尋問はそれぞれ囚人ごとに二週間まで！囚人番号順に！って決めてあって、囚人番号一番の紙の質疑応答を全部終わらすのは二週間以内で〜って感じで。質問内容は20枚以内ならOKだよ。
一回質問するたびにその紙を一枚使って頂戴ね！そこの白いスペースが囚人の回答欄。回答欄には何が書かれるかわかんないし、なんなら空白でも囚人には文句を言わないこと。あくまでこれは謎を解くための手がかりに過ぎないからね、空白でも立派な回答だからね」
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作者名：白熊 | 作者ホームページ：
作成日時：2023年12月24日 10時
