25.視点：看守wato ページ31
看守服を着る事自体は問題なかったものの、ごてごてした装飾品のせいで些か手間取ってしまった。遅刻しそうでしなさそうな時間だったから、急いで着替えていたら思ったより早めの時間に来てしまった。まだクミさんとバステンさんしかいない。
もうこのまま着替えしてたら間に合わない！って思っていたから、半分ほど装飾品を置いてきてしまった。怒られそう。トラべぇもそうだけど、主にバステンさんから。バステンさんはなあ。最近こそボケも多くなってきたけど、根は昔っからクソ真面目な人だから、何かと規則・起立どおりに動きたがる。完璧主義者というわけでもなさそうだけど、言われたことは尽力したいタイプなんだろうな。
「おはよ〜みんな」
「おはようございます…服まともじゃないし？！」
しっかりしてくださいよ、という横からの声に二つ返事で007番の部屋に鍵を差す。他の個室からすでに音がしてんのにまだ出れないって怒ってないかなあ…なんて結構不安になった。007番を担当していて、深緑の髪とか黒い帽子とか。吊り目で結構気性が荒いタイプかな、と思っていたら結構メンタルは脆めで。 ちょっとづつ、どことなく、アイクさんを連想させてふふって心のなかで笑っていた。でも普通に気性が荒いタイプではあった。怖い。何も言われなきゃいいけど。
…俺本当に看守務まるのか？
がちゃん、という静かで大きい音の数秒後。部屋の中から音源に向けて、ゆっくりと向かってくる足音。
「……おはよーございます」
気怠げそうに個室から出てきたのは、昨日と変わらず深緑でシワだらけにした囚人服を着ている007番。
「おはよ〜」
「……服なんか昨日と違くないっすか」
「え？囚人にも気づかれてんやけど…」
クミさんからのじとっとした視線に気づいて身を縮こまらせる。いやクミさんもクミさんでちょっと着こなし変。なんかちょっとアレンジされてない…？
「囚人が気にしなくてよかの！」
「看守の俺がすっごい気になるんですけど」
「知るか！」
と、007番が置いてけぼりにされて困ってたので慌てて視線を戻した。気まずそ〜にしてるのを見るとちょっと申し訳ない気持ちになってきた。
「えと……7番の…ぐちつぼ、であってるよな？」
「はい」
「ん、よろしく。」
「昨日同じ会話しました」
「あぇっ」
そうやってツッコミ入れられるたびまた看守からいじられる。ドアから出てきた6番の苦笑に恥ずかしくなって、あとから来たソーラさんに泣きついた。
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作者名：白熊 | 作者ホームページ：
作成日時：2023年12月24日 10時
