15.魔法生物てんやわんや ページ19
「いやさ、最初映像説明にしたのはごめん！！あの編集めっちゃめんどかったけど俺ご飯つくんなきゃだし目覚めるまでにやるべきこと終わんなそうでさぁ…え？なんで君俺の前で倒れてんの？」
「…お構いなく」
押されたドアにぶつけて痛めた、鼻やら膝やらをさすりながら立ち上がる。
耳から入ってきた声が、ここの面子ではない気さくで聞き慣れない声だったから思わず拍子抜けしてしまった。そんなに怖がる必要もなかったんだなとほっとする。顔を上げるとそこには、
手のひらに載せられるぐらいのサイズのちっちゃい人形生物が、僕等の目線ぐらいまでの高さで浮いていた。
例えるなら、お店にあるとあるキャラクターをデフォルメ化したぬいぐるみのような。
緑色の服、被せられた顔の書かれたレジ袋と、左右から破られた穴からたれている白く長い耳。金色の輪っか。
「……………………………なるほどね？」
「今何に納得したの？」
顔に書かれたレジ袋の表情が一変する。それ変わるんだ。
いやまぁ通りでさっきから他の看守が何も喋らないわけだなと。そりゃ言葉をなくすよなと。
「俺は……僕のほうが良い？ 僕は魔法生物トラべぇ！間違っても白耳でうさぎなんて思わないでね！別に獣人ではないからね！あと僕は囚人じゃなくて看守側の魔法生物だから！」
よく見ると、確かに頭にはレジ袋の上から帽子…それも、看守のつけているような…が、ちょこんと乗せられている。
「情報量の大渋滞だなぁ…」
後ろからちゃみんの細い細い声が聞こえる。長年付き合ってきた勘(過去の記憶はないが)多分頭を抱えている気がする。
「まぁ僕は色々知らないだろう看守たちの案内役っていうか、説明係っていうか…仕事内容説明する係…なんだけど。
最初目覚めた場所あったじゃん？あそこでも僕がいろいろ説明するつもりだったんだけどね〜…立て込んじゃってて！因みに今もめっちゃ立て込んでる」
「もう案内役やめちまえ」
ごめんごめんと小さな首を動かすトラべぇ………いやマジで色々ふざけているとしか思えない。この状況が。
「今頑張って俺が食事作ってるから君たちはそれ以外のことしてくれればいいんだけど……囚人から名前とか色々は聞いた？」
「5番までは。あの調子で聞いていったら時間なくなる気がしてこっちに来た」
「何があったの……」
レジ袋が苦そうな顔をする。
「まぁ、囚人が晩御飯食べてる時にちゃんと説明するからさ。18:00にこっち来てよ」
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作者名：白熊 | 作者ホームページ：
作成日時：2023年12月24日 10時
