12.夕刻17時 ページ15
「じゃあ次は006___」
「おい」
と、次の自己紹介へ移ろうとした時、002番_シャオロンから声がかかった。
「? どうした?」
「いやあのさ、一旦自己紹介次の日に持ち越しません?こんな調子でやってったら時間いくらあっても足りん気が…」
頭の中に疑問符を浮かべる。何を持ってそんなことを…と、シャオロンのレモンティーのような目の先を見ると、頭上の方にシンプルな壁掛け時計があった。しかもそれは対角線上にもう片側の壁にもある。恐らく、半円状に牢が隣接している囚人達の、どちら側からでも見れるような配慮になっているからだろう。
時計は短針が5、長針が4を差している。…17時40分か。陽の光が無いから、まだ15時ぐらいだと思っていた。
「といいますか、そう、お腹へって仕方ないんですが!昼食運んでくれた『あの賢い子』はどこ行ったんですか!?」
「まだお腹減るには早くない?」
それに、たしかに囚人には食事が必要だ。これも俺等が作るのか。…作るんだろうな。まぁ七人もいるし、そこはなんとかなるか。…クミさんとみんなの連携だけ心配だけど。
そして、今出てきた『あの賢い子』とは…?
「一応聞くんだけどさ、俺等がいない間囚人たちって色々どうしてたの?なんか俺等よりここのこと知ってそうだけど」
「知ってるっていうか、初めに皆が起こされたのが15時頃で、変な生き物が突然現れて…なんかいろんなこと教えてくれたんですよね…?俺等はヒトゴロシだから、看守に裁かれるぞって。看守は後々来るから、それまでは自分が務めるよって……遅めの昼ごはんくれたのもソイツなんですけど。」
ぺいんとに「もしかして知らないの?」という顔をされ、うっとなる。いやだって知らないものは知らない。俺等、看守ってだけでいろんなこと知らないし。
囚人に助けられちゃう看守かぁ…と思いながら聞き進める。
「最初はなんか信じられないと言うか…なんかのドッキリ?かと思って!俺はさ、言ってしまうけどちゃんとヒトゴロシしてるから、閉じ込められることについては問題ないんだけど。ソイツの見た目がね……なんか……ファンタジー味が強いというか…浮いてたしなんかうさ耳があった…」
たらこの言葉に首を傾げる。いまいち想像がつかない。
「. …。」
「『とりあえず昼ごはんのときは 皆どうしてたの?』だって」
身振り手振り話すクミさんに代わって通訳する。
「みんな牢屋から出されて、あっちの食堂に集められました」
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作者名:白熊 | 作者ホームページ:
作成日時:2023年12月24日 10時