11.囚人番号005＿自己紹介 ページ14
「……俺アイツの後に自己紹介すんの嫌なんだけど…」
「まぁまぁ、たらこで破壊された脳を癒やしてくれるまともな自己紹介をお願い…」
だから俺何もしてないじゃんって、という004からの抗議を無視する。
＿＿＿005番はまた奇抜な彩りをしていた。茶髪というよりかは橙色、と言ったほうがが適切そうな髪色。毛並みはボサボサっとしている。長い前髪は右目を隠していた。片方だけ確認することができる左目は、力強い黄色をしている。
囚人服は他のものと相変わらず、白生地に黒ベルト。金属ががちゃがちゃと音を鳴らしている。改めて見ると動きづらそうだ。差し色はしにがみと似て、緑と青と紫のグラデーション。袖はひじの少し上あたりで切れており、半袖のように見える。そこから先の腕は、中に着られている青いシャツで隠されていた。
元気そうな印象を与える色なのに、たらこのこともあってかその眉は八の字に下がっている。
「…するかぁ。自己紹介」
「お願い、自己紹介」
すると、一拍間をおいて
「はいおはようございますこんにちはこんばんは、囚人番号005、ぺいんとでございます‼‼‼‼‼‼‼‼‼」
大音量が耳を
一瞬何が起こったのかわからなかったし、その前にびっくりして思わず倒れてしまった。
くらくらする頭と、まだ捉える音が鈍い耳を抑えながらゆっくりと起き上がる。
「……………え？あの、みなさん…」
「……………駄目だわこれ、005番も全ッ然癒やされない」
なんで！？という顔をする005＿………確か、ぺいんと。
いや、当たり前だろ。何あの音。例えるなら、人気アイドルの会場が湧いてるとき。そんな音量だった。マイクでも使った？
「んん…？？」
もしかして音量あげすぎたかな…と少々首をひねりつつ、ぺいんとは自己紹介を再開する。
「…えっと………年齢は…25です。あ、血液型はOで、正直ここに入れられた理由が全くわかんないし一刻も早く帰りたいです！よろしくお願いします。」
そう言い終えると、ぺこりと一礼をする。
自己紹介の初め以外はまともな印象だったが、正直この先が思いやられる。大丈夫かな…俺等こいつらまとめるのか…。しかもまだこの時点で囚人の二分の一なのか……
「俺等看守やっていけるのかなあ………大丈夫かな…」
不安をぽつり。
全員が不安そうな顔で(クミさんだけは平然として)看守で円陣を組んでいた。
「あのう、俺も早く牢閉めてほしいっす看守ー…」
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作者名：白熊 | 作者ホームページ：
作成日時：2023年12月24日 10時
