【実況者】お前の罪を歌え【MILGRAM】 (ページ2)

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序章ページ2

ゆっくりと脳が覚醒していく。
意識がはっきりとしていく。
重い瞼が開かれる。

目を覚ますとそこは＿＿＿＿＿

「………？」

見知らぬ場所。
どこか冷たい雰囲気のあるその空間は、今すぐにでも逃げ出してしまいたかった。フローリングされた木の床。眼の前の、淡く光る大きいモニター。黒一色の壁。全く見覚えがない。
誘拐の線を考えるもまず過去の記憶がない。ここで目覚める前までは何をしていたっけ。ねぼけなまこの頭に鞭打って考える。

分からない。

落ち着こう。自分の名前は？そう＿＿＿＿たしか＿＿

「どこやここぉ！！えっ何誘拐？！」

と、右方向からつんざくような大声が聞こえる。
慌ててそちらを振り返ると、そこには見知った顔がいた。

「えっwatoさん？！」

というかそうだ、俺以外にも人がいる。あれ、これは…いつものメンバー。いつも一緒に行動していた…

他のメンバーもその声で目覚めたのか、起きてくる。

「え………なに、ここ。誘拐？」
「…。？」
「んん〜…うるさいwatoさん……」
「あれ？ともさんとみなさん…あれ？」
「えー何！？ここ？！」

他のみんなも混乱しているようだ。
ここで俺から説明しよう。＿＿＿といっても、過去の記憶が全く思い出せないが。サッパリまるごと消えているが…それでも、この面子については知っている。

ソーラ。
クミ。
アイク。
wato。
バステン。
あちゃみ。

それぞれ個性豊かで、俺はその中にいる…いた、はず。リーダー的存在として…

俺は、俺は＿

とも。そうだ、俺の名前はとも。赤い髪をしているから、赤髪のともなんて言い始めたんだっけ。

「なんか、変な格好になってますけど。」

そう言ったアイクさんの発言で、やっと自分の状態を見ることができた。
なんだか本当に……変な服、である。よくわからない…手首に金属製のわっかがあり、そこに一つ金色の鍵が通されている。黒いぴちっとした手袋。グレー色でまとめられた服。
”いつもの”格好がどんなものだったか思い出せなかったが、はっきりと分かるのは「これはいつもの服ではない」ということだけ。

「とにかく、誘拐なら静かにしていたほうがいいかも…！一回みなさん落ち着いて、」

そう言いかけたバステンさんと被さって、ブォンという不気味な音がする。

一同音源へと振り返ると、どうやらモニターが知らぬ間に起動されていたようだった。
赤一色の画面。そこへ黒い文字が飛び出してきた。