“WELCOME TO PRISON”４

七日目 ページ5

.





どれだけ、理想を並べても大ちゃんが

かわいそうなのは変わりない。




ずっと泣いていたかった。


だけど。




泣くだけなのは子供の特権。


大人は泣きながらだって

やらなきゃいけねぇこともある。






涼「ーー戻ってき、た」





光「おかえり」




端から見たら、間抜けな会話だが


心を落ち着かせることは出来た。





お帰り、か。


いいな。





帰りたい、な。




２度と帰れない仲間の前で

言うことじゃねーけども。







光「俺の考えを言うよ。



まず第一発見者の涼介が殺人鬼の可能性は


低いと思ってる。


である以上、大ちゃんが殺されたのは


ついさっきのことではない。いい？」





Aと高木は緊張した面持ちで小さく頷く。





光「そして、大ちゃんが殺人鬼に殺されたのも


間違いない。

そこを違えると根幹が揺らぐからね。




たとえば、ゲームを面白くするために


なんの罪もない大ちゃんを運営が殺したとか


そんなことは、まずあり得ないと考える」





基本的には看守を殺せるのは

殺人鬼だけのはず。




もっとんでもない罪種がいたとしても

ルール的に間違いじゃないが



殺人鬼が殺した遺体を運営側が手を加えたと

いう方が自然だろう。





光「俺は、殺人鬼を

止めてあげるべきだと思う。



状況からして、殺人鬼は

止まりたくても止まれないのだろう。



だから、その時は止めてあげるべきだよ」




もっともな演説だった。




光「俺は、万一のためにここでスタンガンを


構えてないといけない。


下手にタブレットを抱えたら、昨日みたいに


隙を見せるハメになるからね。




ーーだから、これはお前に預けるよ」





そういって、光くんが差し出したのは


光くんのキー。





涼「待てよ！それはーー」




光「看守が１人になったから、


この１本で処刑の承認が可能になるよ。



また、別の案として

そのプレートをめくるといいよ。




５０%の確率で俺は死んでみんなは自由だ。



取り敢えず、これを渡すのは確定だね」





光くんがぞんざいにキーを放り投げる。


かろうじてキャッチ。





光「ーー俺は、涼介が決めた方法をどんな


結末であれ支持するよ。



だから、お前が決めてくれ」





涼「看守の責任を放棄するのか？」




光「涼介もゲームに毒されてるよ。


看守や囚人はあくまでゲーム上の話。


俺はあくまで俺の意思でお前に委ねたい」

七日目→←七日目

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す