91話 スノーフルの歴史 ページ44
─Aside─
私達は、回復アイテムとバンダナを買った後、店員さんとしばらく話し込んでいた。
「この町によそから人がくるなんて、随分久しぶりだねぇ。どっから来たの?都かい?観光客って雰囲気じゃなさそうだけど。二人で来たのかい?」
「あ、はい…!二人で来ました。」
説明するとややこしい事になるため、どこから来たのかは答えられそうにないから、とりあえず頷いておいた。
その後は、話題を変えるために、この町のおすすめスポットや、町の歴史について聞いてみた。
店員さんは、何か食べたいならグリルビーズ、情報を探してるなら図書館、右隣には宿屋があるなど、親切に教えてくれた。
後、パピルスさんとサンズは、この町でちょっとした有名人だと言うことも知った。
さすがだよ、骨兄弟…!
「他に聞きたい事は?」
「えっと、スノーフルの町の歴史を知りたいです!」
「昔、モンスター達は、森の遺跡に住んでいたんだけど…まあ色々あって、みんなで遺跡を出て、洞窟の出口の方を目指したのさ。その途中で、ケモノ系の連中は、この辺りの気候が気に入ってね。そのまま住み着いた…これがスノーフルの始まりだよ。」
ルインズ、昔はもっとモンスターがいたんだ。
ケモノ系は、今までの犬達の事なのかな。
「あ、そうそう。遺跡に行ってみようなんて考えてもムダだよ…扉はずっと昔に閉じたっきりさ。お化けになるか、地面に穴でも掘らない限り、中には入れないからね。」
「…分かりました!肝に銘じます。」
そりゃそうだよね。
トリエルが、誰も犠牲者を出さないために、そうしているのだから。
もう、あそこへは戻れない。
おっと…思い出すと、泣けてきそうだ。
別の話で気を反らそう。
「
「そうだね…これといって変わり映えのしない毎日だよ。ちょっと狭っ苦しいのは確かだけどさ…でも、みんな心の奥で信じてんのさ。いつかきっと、自由になれる日が来るってね。」
私はその話を聞いて、モンスターって強いなと思った。
「みんな…前向きに生きてるんだね。」
フリスクが、ぽつりとそう呟いた。
「あぁ。そうやって希望を持っている限り、しんどくたって耐えていけるってもんさ…人生ってそういうもんだろ?」
笑顔でそう言い切る兎の店員さんが、なんだかかっこいい。
私達も、この世界から生きて帰れるように、モンスター達の願いを叶えられるように、希望を持って頑張ろう、と改めて思った。
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作者名:のん猫?? | 作成日時:2021年1月15日 16時