51話 生き生きとした弟を見て ページ4
─サンズside─
この地下世界に、久しぶりにニンゲンの子供が落ちてきたようだ。
しかも、二人も。
オレは、その二人を見張る。
コイツらを、モンスターから守るために。
そして、ある人との約束を守るために。
ニンゲン達が橋まで来たタイミングで、声を掛けると、ヤツらはとても驚いた。
特に、ツインテールのヤツが。
だが、少しでもヤツらの緊張を
もう一人のニンゲンは、ぽかんとしていたが、緊張は解けたようだ。
互いに簡単な自己紹介と挨拶をした後、弟のパピルスが来る気配がしたため、フリスクをランプに、Aを小屋に隠れさせる。
案の定、パピルスがここに来たので、声を掛けると、「よう!ではぬぁぁいッ!」と怒られた。
オレは、パピルスの小言をいつものように聞き流し、「そこのランプを見てる。いいランプだろ?お前も見ろよ。」と、ランプに目をやり、うそぶいた。
もちろん、パピルスは「断る!そんな暇は、ぬああいッ!」と返す。
ま、そうだよな。
パピルスは、ヤツらがここにいるのを知らないからな。
「必ず!このパピルス様が!ニンゲンを捕まえてやるのだあッ!そうすれば、この偉大なるパピルス様の望みは…全て叶う!人気者になって、尊敬されて…ついに憧れのロイヤル・ガードになって…!そして、みんなに『お友達になって!』って言われちゃったりして?毎日ラブラブ光線を浴びまくるのだッ!」
時にキリッとポーズを決め、時にうっとりとしながら、自分の野望を語るパピルス。
オレは、興味がない素振りで返事をしながらも、久しぶりに生き生きとしている弟を見て、内心ほっとしていた。
実は、パピルスは、ニンゲンが来るまで、あまり元気が無かった。
怠けるオレを見ては小言を言ったり、忙しなく動き回ったりと、いつもと変わらないように振る舞っているものの、時折どこか寂しそうな顔をしている時があった。
オレが、ニンゲンが地下世界に落ちてきた事を知った後、パピルスに報告すると、眩しいくらいに顔を輝かせた。
その後、すぐ咳払いをして、「よし、ニンゲンを捕まえるぞッ!」と息巻いていたが。
オレはその事を思い出し、小屋とランプに目を向けてから、意味ありげな笑顔をパピルスに向けた。
「なら、こいつら…"ランプと小屋が相談に乗ってくれる"かもな?」
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作者名:のん猫?? | 作成日時:2021年1月15日 16時