62話 ナイスクリーム ページ15
「ハーイ!そこのイケてるお兄さん!どうしたの?君に沈んだ顔は似合わないよ?」
…って、またナンパ師みたいに声を掛けてしまった。
兎のお兄さんが私達に気付き、顔を上げると、ぱあっと花が咲くような笑顔になった。
「おッ!お客さんだ!」
さっきまで沈んで垂れ下がっていた耳まで立たせて、すごく嬉しそう。
声を掛けて良かった!
「いらっしゃい!『ナイスクリーム』おひとついかが?」
お兄さんは、ナイスなスマイルで、元気良く接客を始めた。
看板にチラッと目をやると、「舌にヒンヤリ、ココロはホッコリ。おいしいフローズンスイーツだよ!」と書かれてある。
とても人気の出そうな内容だ。
プラスアルファで彼のスマイルと、人気の出そうな要素があるだけに、なんだかもったいない。
暑い場所なら、絶対売れそうなのにな。
そういや、この地下世界には、暑い場所ってあるのかな…?
いや、多分ある、きっとある。
寒い場所があるなら、暑い場所だってあるはずだ。
もし暑い場所を見つけたら、お兄さんにここでなら売れるんじゃないかって伝えてみようかな。
「…お姉さん?」
おっと、いけないいけない。
話を反らすため、私は、お兄さんに値段を聞いてみた。
買える金額なら、買いたいと思ったからだ。
「あ、ごめん、ごめん!ちょっと考え事をね。それより、おいくらですか?」
「今だけ、たったの15円だよ!」
15円なら、一応戦いでゴールドは得てるから、2つくらいは買えそうだ。
よし。
「それじゃあ、2つください!」
私は、ポケットからゴールドを取り出し、ナイスクリームを購入した。
ちなみに3つ買わないのは…ホントならキャラの分も買うところだけど、あいにくゴーストだからだ。
キャラ曰く、ゴーストは物を食べれないらしい。
「はい、どうぞ!ナイスな一日を送ってね!」
お兄さんは満面の笑みで、そう言ってくれた。
うん、買って正解だったな。
「ありがと〜!それじゃ、また買いに来るね〜!」
アイスを受け取り、お兄さんに手を振って歩き出した。
歩いて少しすると、雪玉と─その向こうにサンズが立っていた。
前も思ったけど…いつの間に?
「A!この雪玉、転がせるよ!」
フリスクは、私の服の袖を引っ張りながら、線のように細い目をキラキラさせながら、声を掛けてきた。
少し離れた場所に目をやると、そこには穴と旗があった。
ゴルフのような感じだ。
せっかくだし、ちょっとだけ遊んでみる事にした。
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作者名:のん猫?? | 作成日時:2021年1月15日 16時