男役さんの彼女に､なってみませんか？ (ページ5)

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急速に頬が熱を持ちはじめ､顔全体が赤くなるのを感じる｡硬直して動けなくなってしまった私に､追い討ちの一言が迫ってきた｡

「今日だけ､じゃあ物足りない？毎日かなぁ…」

「ちょちょちょ､待って下さい咲さん!?!?」

慌てふためく私をよそに､次々と提案が持ちかけられる｡

「後は､毎朝私が起きるまでちゃんと隣にいて欲しいし､寝る時は必ず横で添い寝したいし､デートだって連れてってあげたい所がまだまだ…」

クールでイケメンな彼女は何処｡本気で疑問に思う程､見慣れた姿とは異なっていた｡

同時に､心から愛されていることを実感する｡“トップスター”の時は全身にまとう色気で観衆を虜にする咲さんだが､“彼女”の時はデレデレな一面もみせる。

どちらの顔も楽しめる私は､きっと世界一の幸せ者なのだろう｡

「…分かりました､やります」

「ほんとに？」

「言ってしまったものは､しょうがないですよ」

「ふふ､確かに」

観念したように告げると､咲さんはしてやったりとばかりに､真っ白な歯を見せて笑った｡

「でも､その代わり」

「んー？」

一度腕を解き､目線を合わせる｡

「これからもずっと､咲さんのことを抱きしめさせて下さい」

一瞬､不意を突かれた様子の彼女は､すぐに破顔した。

「…うん。こちらこそ､よろしくね」

とびっきり優しい､思いやりのこもった言葉。
これから先､どんな困難が降りかかって来たとしても､私は最後まで､咲さんの味方でい続けよう。

たった一人の､愛しい人の傍で。