HERO (ページ4)

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深夜2時過ぎ

同室の樹が寝息を立て始めた頃

俺は部屋からこっそり抜け出し、

ホテルのエレベーターで最上階へと向かった。

'' 1番金のかかる部屋をとった。来い ''

相変わらず育ちの悪そうな文。

綺麗な文章が好きな俺は、こういう人間が心底嫌いだった。

「...よ、もう来たんか」

「早く終わらせて。同室のやつにバレると面倒だから。」

「まぁそう焦んなって」

そう言って、彼……あの、カメラマンは

俺の肩を馴れ馴れしく自分の方へと抱き寄せた。

シャワーを浴びたばかりなのか、髪はびしょ濡れ。

「なんで、ここにいるんですか」

「さぁね。……慎太郎くん、やったっけ？可愛え顔してるなぁ」

「…俺があんたのセフレになる。

そうしたらメンバーには手を出さないって約束ですよね」

「はははっ、冗談やん」

汚い。

笑うと見える黄ばんだ歯も、伸ばしたままの髪も、

ゴツゴツと骨ばった手も、煙草の香りも、全部が汚くて、

でも、

それくらいが、今の俺にはきっとちょうど良い。

「ねぇ、はやく襲ってよ」

「…襲って、て……もっと可愛い言葉使えないんかお前」

「使えないよ、わかってるでしょ。ねぇ、はやく」

エロいムードになったら、敬語はやめろ。

俺がこいつに初めて抱かれた日に勝手に決められたルール。

ムードとか気にすんのかよと突っ込みたくもなったが

今じゃそれが始まりの合図みたいなもんだ。

「はぁ…可愛げのないやつやな」

「嫌いじゃないでしょ？こーゆうのッ……ん、ぁ」

生暖かい舌が、ねっとり、執拗く絡んでくる。

煙草の味も相まって呼吸がしずらい。

「ふ、ぁ…たばこ、くさ……」

「嫌いじゃないやろ？この味」

「っるさ………んッ、も、はやく」

今度は自分から、舌を絡める。

髭が生えてるとチクチクして痛いから、

ヤる前は髭を剃ってくれと前にお願いしたことがあった。

こいつは笑いながら

俺の痛がってる顔が見たいから敢えて剃ってないんだ

と言ってきたのを覚えてる。

「ぁんッ……ゃ、も、いれてよ…」

「お前、焦らすと可愛いからさ」

別に、好きでセックスしてるわけじゃない。

俺はこいつから、メンバーを、SixTONESを守るために

自分の身体を売っただけ。