no name １ (ページ7)

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輝きすぎる大スターを間近で見たあの日から、早１週間。

きっと忘れられない、なんて思いつつも、あっという間に現実に引き戻されて。

忙しい日々と、大好きな人とすれ違う日々が、再びやってきた。

淋しい

なんて、簡単に言えない。

だって、オッパは私なんかより何倍も、何十倍も、いや、何千倍も忙しいのだから。

だって、私の忙しいはたかが知れていて、夜になればちゃんと家に帰って、ご飯を食べて、ベッドでゆっくり休むことができる。

でも、オッパは自分の家にも帰れず、次から次へと国を移動して、休めるのは飛行機だけ、なんてこともある。

そんなオッパに、『なんで連絡くれないの？』とか『ほっとかれて淋しい』なんて、死んでも言えない。

そんなの、もうこの半年で十分学んだ。

言っちゃいけないし、言わない

それが、私のルール。

「…はあ」

オッパに会ってすぐの頃は、いつも決まってこんな感じ。
すぐにため息が出てしまう。

段々とオッパとすれ違うことに慣れてしまうけど、でもそれもなんだか悲しくて。

「……はああ」

もっと深いため息をついた、ちょうどその時。

ピロリンッ☆

なんて、アホみたいな音と共に届く誰かからのメッセージ。

「？」

放っとこうかと思ったけど、なんとなく気になって画面を覗き込むと。

【東京タワーって何色だ？】

というハングルのメッセージが。

…この突拍子の無さは、きっと。

【赤だよな？】

【オレンジとか言ってるけど、違うよな？】

【俺には赤にしか見えない】

【ヤー、A】

【赤だと言え】

次から次へと届くメッセージ。
最後なんてもはや、命令(笑)

「なにこれ…(笑)」

暗闇で、携帯の灯りに照らされたにやつく顔、さぞかし不気味だろうな。

けど、謎すぎる…(笑)

「きっと、赤ですよ、ヒニム…っと」

キム・ヒチョルが赤だって言うなら、きっと赤なんだ。

漠然とだけど、でもそうとしか思えなくて。

それから、私が１人で落ち込んでる時、必ずと言っていい程に、キム・ヒチョルの変な連絡が入るようになった。

中々会えない、大好きで大好きでたまらない、キュヒョンオッパ。

もやもやとしている時に、まるで突風みたいに現れる、キム・ヒチョル。

私は、心が弱いのかな。

そんなキム・ヒチョルのことを考えてしまうようになったのは、いつからかはわからない。

けど気付いた時には、私の心が真っ赤に染められていた。