no name １ (ページ6)

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「「…なにあれ」」

目の前の友達のミナと２人、声を合わせて呟く。

なのにお互い、キム・ヒチョルが去っていった扉を呆然と見たまま動けない。

「………か、っこいい～～～～」

「はあ？」

ミナのそんな言葉に、思わず呆れたような声を出してしまう。

かっこいい？

当たり前だ。(真顔)

「キラキラアイドル、なんだね、いくつになっても」

やばーい、手が震えるー

そう言いながら両手を握りしめて。

本当に、心底キラキラしていた。

人があんなに眩しく見えたの、初めてかも。

「お客様」

しまった！うるさかったかな…！

突然店員さんに声を掛けられて、驚いてそちらを見ると、その人の手にはキラキラ輝くスイーツのお皿が。

「え、あ、いや、頼んでないです」

「いえ、こちら、先程のお客様からのご注文です」

「先程の…？」

見覚えのないその品にきょとんとしていると、店員さんは少し屈んで小声で「キム・ヒチョル様からです」と教えてくれた。

うわ、なんなの、キム・ヒチョル…！

根っからのイケメン…！

そんな気持ちがだだ溢れの私たちは、テーブルに置かれたそのお皿に揃って、合掌。

この短時間で、底辺から頂点まで急上昇したあの人の好感度。

やばい、ペンになりそう

２人してそんなことを話しながら、滞在先のホテルに帰った。

_

｛はは、さすがヒチョリヒョン(笑)｝

「すっごいでしょ！なにこの変な人って思ったのに、もう今じゃミナなんてヒチョルさんの動画ひたすら見てるの(笑)」

｛ほんと、ヒョンはかっこいいんだよ。気取ってるようで気取ってなくて、自然とそういうことができる｝

興奮冷めやらぬまま、オッパに電話して。

オッパの言葉の節々から、ヒチョルさんが大好きってことが伝わってくる。

「…オッパが言ってたよりもっと変だったけど、それよりももっともっと、素敵なお兄さんなんだね」

｛そう、宇宙から来た自慢のヒョンだよ(笑)｝

でもね。

そうやってお兄さんを大切にしてるオッパも、すっごく素敵。

「……オッパ、早く会いたい」

｛…どうしたの、急に(笑)｝

「んー、内緒(笑)」

｛…夢で会おうね、Aちゃん♡｝

「オッパ、きもーい(笑)」

忙しいオッパには中々会えなくて、

結局この前のパーティーの時しか会えず、

明日、日本へ戻る。

今すぐ会いに来て

っていう我儘と、寂しい気持ちははぐっと噛み殺して。