Into Your Eyes ＊Nozomu (ページ9)

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望「…Aさんは、悪くないと思います。

濱ちゃん先輩のことを一番に考えて

自分の思いも犠牲にして、我慢して。

僕、初めてAさんに会ったあの日、

なんて彼氏の顔を立てる人やなって、

すてきな人やなって思ったんです。

僕はそんなAさんに…」

そこまで言って、自分は何を言おうとしとるんやってブレーキをかける。

いきなり口を噤んだ俺に、Aさんは

あ「…私ね、崇裕くんと喧嘩して家から出た時、

小瀧くんの顔が浮かんでね？」

気づいたらあそこのホームにいたんだ。

そう言うと、目に涙を浮かべたまま微笑んだ。

そんなAさんの言葉と表情に、

俺はもうどうしたらええのかわからんくて。

モヤモヤとした気持ちとともに

コーヒーを飲み込む。

あ「…たまにでいいから、さ。

こうやって話聞いてくれないかな？」

…なんて、図々しいよね？

と言って俯いて笑うAさんに

僕なんかでいいんやったら。と答えると、

キラキラ眩しい笑顔でありがとうと言った。

この時に、俺の中で何かが音を立てて崩れていくのを感じた。